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2013-04-23 00:00
(連載)ボストン爆破事件とチェチェン人(2)
大富 亮
チェチェン・ニュース発行人
チェチェンや、コーカサス独立の大義から言っても、ボストンで事件を起こす必然性はない。むしろボストンはアメリカのチェチェン・シンパたちがたくさん住んでいる地域だ。その代表がビクトリア・ププコだし、チェチェン人医師のハッサン・バイエフが住んでいたこともある。今も住んでいるかも知れない。近く、彼ら、アメリカのチェチェン支援者たちの意見が出されると思う。各メディア報道に目を通していても、動機に関しては、せいぜい「大学で成績が伸びなかった」とか、「英語が苦手だった」とか。動機といえる動機ではない。アルカイダとの関係も然り。なぜかCNNにまで、念を押すようにこんな記事があった。「ボストン爆弾テロ犯、FBIが過去に聴取 過激派との接触なし」。こんな具合だから、世界中の誰もが「?」という感じだろう。
最後に、ロシア政府について。基本的に彼らは、どんな謀略でもしかけてくる。たとえば、1999年のモスクワ・アパート爆破事件。いまだに真犯人は逮捕されていないが、全部チェチェン人のせいにされ、翌日から対チェチェン戦争が始まった。しかも、状況証拠は明らかにロシア連邦保安局の自作自演だったのにだ。「リャザン事件」で検索すると日本語でも出てくる。9.11でそうだったように、ボストンの事件で、ロシア政府は得をする。これでアメリカの世論は、チェチェンに対してかなりネガティブなイメージを持ったはずだ。クリントン時代以来、民主党政権はチェチェンを人権問題として対ロシアのカードにしていたのが、これで使えなくなる。
ロシアとしては、内心よくぞ事件を起こしてくれた、という感じだろう。あとはアルカイダが関係していたとして、その思惑やいかに。しかし、どう考えても、マラソンを観戦しているボストン市民を殺害したって、彼らの「大義」には何のプラスにもならないだろう。そういえば、アルカイダとロシア政府が裏で結託していたら、今回の事件は腑に落ちるような気もする。そのあたりは、リトビネンコと常岡浩介さんが詳しいところだ。ロシア政府に殺されたリトビネンコの書いた『ロシア闇の戦争』(光文社刊)は、いつ読んでもショッキングな事実ばかりだ。
推測をいくつか書いたが、何よりジョハル・ツァルナーエフには、生きてもらわなければならない。まず、彼らが事件の真犯人であるかどうか、その場合動機が何だったのかを解明するためだ。アメリカの司法は、ロシアのそれよりは信頼できると信じたい。この事件には直接関係がないが、一昨日、4月21日は、1996年にチェチェンの初代大統領のジョハール・ドゥダーエフが、第一次チェチェン戦争の末期にロシア軍に殺害された日だった。(おわり)
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