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2013-04-10 00:00
世界経済はブロック化に向かうのか
緒方 林太郎
前衆議院議員
TPP、日欧、日中韓等、色々な自由貿易ネットワークにようやく日本が動き出したことを受け、ちょっと別の視点から考えを巡らせました。それは「世界はどの程度ブロック経済化し、しないのか」ということです。これは現職時代、ある同僚議員2名と論議したテーマです。私は最も望ましい自由貿易体制はGATT・WTO体制だと思っています。世界全体で共通のルールで自由貿易を推進していくというのがいいのです。
その理由としては色々とありますが、最恵国待遇の原則が貫かれる限りにおいて、世界全体の便益向上に繋がるからです。有志の国だけで行う自由貿易協定は小さな国が加わりにくかったり、小さな国だけでやってもあまり効果が上がらなかったりと、事実上、後発発展途上国にとっては一定の排除効果が生じます。ただ、WTOドーハ・ラウンド交渉はスタートしてから既に12年になりますが、現在は完全に止まっています。WTOは、現行のルールの執行とそれに伴う紛争解決の場として機能するに留まっています。そして、世界は既にてんでばらばらに自由貿易協定のネットワークが網目のように巡らされようとしています。
そのような中、今後の貿易体制は、今後非常に緩やかではあるものの一定程度のブロック経済化の方向を志向するのではないかと考えられるのです。勿論、世界がグローバル化しており、世界中どこでもウェブ等を通じてコミュニケーションを行えるようになっているのですが、そのグローバル化した貿易体制の下で「非常に緩やか」ではあるものの一定程度のブロック化というか、グループ化が進んでいくような気がするのです。しつこく「非常に緩やか」と書きましたが、根底にあるのはグローバル化する世界であり、あくまでもその中で、どういう形態なのか、それがどの程度の速度を持って進行するのか、どの程度で止まるのか、全然分かりませんけども、ブロック化を大きなピクチャーとして考えておくことは必要でしょう。
欧州は既に関税同盟から統一市場を強固にしつつありますが、これも一つのブロック化と言っていいでしょう。関税同盟とは域内の貿易を自由化するのみならず、対外的に統一関税を適用するという進んだ形態であるからです。北米のNAFTAにも同様の面があります。このように地元の足場を固めながら、グローバルな世界に飛び出していっていると見ることが出来るのではないでしょうか。ここでいう「ブロック化」というのは地理的な要素だけで括れないかもしれませんけども、まずは地理的な要素が大きいような気がします。それが日本にとっては、「日中韓」なのか、「環太平洋」なのか、「東アジア全体」なのかということでしょう。別にどこかの国を外して域内に籠るべきといったことを主張しているわけではありません。単に世の流れとして、世界は幾つかのグルーピングに分かれていく方向に行くんじゃないかなという漠然とした感想を述べているにすぎないのです。
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