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2013-03-25 00:00
(連載)習近平の最初の訪問先について思う(1)
緒方 林太郎
前衆議院議員
中国の習近平国家主席が最初の外国訪問で、ロシア、タンザニア、南アフリカ、コンゴ共和国に行くことになりました。これについてどう思うかということですが、単純に「中露関係というのは紆余曲折はあるけど、やっぱり重要なんだな」とは感じます。世界史の授業では「シルクロードが流行らなくなったのは海洋航路が発展したため」だと学びました。たしかに中世から近代にかけては、大陸国家から海洋国家への流れがありましたが、陸路も海路も充実してきた現代においては、ランドパワーとシーパワーの関係をどう見るか、というのが面白いテーマでしょう。明示的にではないものの「自由と繁栄の弧」の議論とかなり重なり合ってくるかなとは思います。ハルフォード・マッキンダーというイギリスの学者が「これからは大陸国家の時代だ」というハートランド理論を唱え、「地政学的にユーラシア大陸をどう見るか」という壮大なテーマが提示されたのが19世紀末から20世紀初頭です。そういう視点からも、ユーラシア大陸の大半を占める両国が「ああ、やっぱり」と思えるくらいの関係であるということは示唆的です。
また、南アフリカはBRICSの首脳会合の参加国ですから、訪問先を選ぶ際に二国間関係とは違った要素が存在します。しかし、アフリカに行くのであれば、BRICS首脳会合があろうとなかろうと、習近平は南アフリカには行ったでしょう。むしろ、ここで注目しなくてはならないのは「最初の訪問先の大半がアフリカである」という事実です。もちろん、南アフリカ以外にタンザニア、コンゴ共和国に行くということはとても興味深いです。元々、中国の国家主席や首相、国務委員クラスは、日本の政治家とは比べ物にならないくらいアフリカに行きます。昔であれば、台湾(中華民国)との国家承認取り付け競争があったという事情もありました。中国はどんなに小さい国でも、中華人民共和国を国家承認している国には大使館を設置していましたし、折に触れ要人が訪問してきました。10数年前までは、台湾との国家承認争いで札束合戦をやると、北京の方が若干劣勢だったということもあり、大使館を設置して継続的な関係を築いておかないと台湾から承認を持っていかれるという問題がありました。現在は、札束合戦をやっても負けなくなり、却って台湾のほうが劣勢なくらいです。
そのほかにも、国連や諸国際会議の場でアフリカを味方につけておくことの意味を中国はよく理解しているということもあります。54ヶ国の大票田で、一国一票的な制度を採用している国際会議では、アフリカが賛成しない議案はそもそも成立しにくいのです。途上国グループの代表的な立ち振る舞いをすることが多い中国は、アフリカを味方につけておかなくてはならないのです。もちろん、資源の問題もあります。資源を確保しようとする中国のなりふり構わぬ姿勢は特にアフリカで顕著です。アフリカ側からすればある意味「人権など耳障りなことを言わずに取引してくれるうえ、代金代わりに欧州が売ってくれない武器をくれたりする」というのはありがたいと思うところがあります。中国人の進出先で、劣悪な労働条件を現地住民に強いる等の問題を起こしていることはありますが、中国として資源確保の観点からアフリカとの結びつきを強めるという方向は絶対に変わらないでしょう。
しかし、そんな中、何故記念すべき最初の訪問先がタンザニアとコンゴ共和国なのだろうかと思います。タンザニアの大統領はジャカヤ・キクウェテ氏。2005年就任ですので、大統領としては古株とまでは言えません。また、タンザニアの大統領制は2期10年と決まっているので任期はあと3年弱しかありません。東アフリカの古株・重鎮を訪問したいのなら、ウガンダのヨウェリ・ムセヴェニ氏でしょう。今は一党独裁の長期政権で少し色あせた印象ではありますが、1990年代はアフリカの星と言われていた大統領です。しかも、タンザニアは周辺と比べて、そこまで資源が豊富な国でもありません。特筆すべきはオフショアで天然ガスが出るのと、金やタンザナイトが産出されるくらいで、それほどの大資源国ではありません。(つづく)
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