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2013-03-23 00:00
尖閣諸島有事の日米共同作戦計画策定について思う
岡部 加寿子
会社員
3月20日付けの日本経済新聞によれば、日米両政府は沖縄県・尖閣諸島を巡る有事を念頭に置いた自衛隊と米軍の共同作戦計画を夏までに策定するという。日米の共同作戦計画は日米安全保障条約に基づき、周辺事態法などを根拠に、これまでも朝鮮半島や台湾海峡における有事を想定して作られたことはあったが、国内の特定の地域における有事を想定した計画は初めてであるという。
このことは、米国防総省のウィルキンソン報道官の「尖閣諸島に関する米国の政策は以前から変わっていない。我々は当事国に平和的手段を通じて問題を解決するよう促している」とのコメント(3月21日付米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』)にも見られるように、尖閣諸島をめぐる領有権問題に対して米国が日本を支持する何らかのスタンスをみせたというよりは、米政権が以前から尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲だと表明していたところ、今年1月の中国海軍艦船による海上自衛隊護衛艦への火器管制レーダー照射の発覚をきっかけに、領有権をめぐる日中両国間での武力衝突の可能性が急速に現実味を帯びたものとして捉えらるようになったということなのだろう。
2012年1月に第一期オバマ政権が公表した新国防戦略の柱の1つは、アジア太平洋を最優先させて兵力や抑止力を強化するという「アジア重視戦略」への転換であったが、日本は東シナ海・南シナ海に進出する中国とこのような「アジア重視戦略」に転換しつつある米国の兵力展開のまっただ中に位置しており、今後の日本の動向は、米国のアジア・太平洋戦略、さらにいえば対中戦略の成否を左右するといえる。たとえば2010年にベトナム・ハノイで行われたゲーツ前米国国防長官と北沢俊美元防衛相との会談においても、同長官は中国が日本海近海から太平洋にかけての軍事プレゼンスを増していることに対して、日米がそろって周辺国との連携を強化する重要性を指摘している。
経済的・軍事的にめざましい台頭を遂げる中国の存在は、アジア・太平洋地域の国々にとって、現在無視できない、最大の懸念事項となっている。それだけに、日米両国は、尖閣諸島をめぐる有事を念頭においた日米共同作戦計画の策定を急ぐのは当然のこととして、さらにその先にあるアジア・太平洋地域全体の平和と安定のために、両国はいかなる役割を果たすべきかを戦略的観点から検討すべきである。
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