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2013-03-12 00:00
参院選、自公で過半数確保の勢い
杉浦 正章
政治評論家
自民党長期政権の鍵を握る参院選挙は、内閣・政党支持率の異常な高まりに支えられて、自民・公明両党で過半数を維持できる可能性が強まった。筆者の分析では、自公の勢力分野が過半数の122議席を上回り、130議席前後に達する可能性が出てきた。高支持率が参院選挙まで維持できる可能性は予断できないが、逆に急落する要素も少なく、「高め横ばい」で推移する可能性が高いからだ。この結果、民主党は衆院選に次ぐ大惨敗が予想され、党再分裂も予想される事態となろう。とにかく発足早々の政権は、だいたい“ご祝儀相場”で最初の世論調査だけが高く出るものだが、2回、3回と回を重ねる度に上昇する政権は見たことがない。3月11日のNHKの調査でも安倍内閣支持率は、先月より2ポイント上がって66%。読売の先月の調査は、何と71%で内閣発足から2回連続して上昇した。驚異的なのは、自民党支持率もかってない高まりを示していることだ。NHKでは自民党が40.1%、読売が42%、朝日が37%といった具合だ。せいぜい10%台で推移していたのと比べると、雲泥の感がある。他党はNHKでは民主党が7%、公明党が4.4%、日本維新の会が3.9%、みんなの党が3.1%と続いており、自民党の一人勝ちの様相を濃くしている。
安倍は「運も実力のうち」と漏らしているが、まさにつきについている感じだ。問題はこの支持率が維持できるかどうかだが、最大の理由であるアベノミクスと株高が象徴する景気高揚感は、そう簡単には急落しないだろう。なぜなら、アベノミクスの成否判明は1年2年後となるからだ。経済と並んで重要なのは、首相・安倍晋三のタカ派姿勢が、中国の尖閣諸島への強硬姿勢、北朝鮮の原爆・ミサイル実験に“支えられ”ている点だ。したがって支持率は高止まりはないものの、高めで推移するものとみられる。こうした中で参院選挙に突入となれば、選挙にも反映されざるをえまい。参院選挙は定数121議席を選挙区73人、比例区48人に分けて行われる。現在の自民党の非改選議席は58議席であり、過半数には自公で64議席取って122議席以上を確保する必要がある。まず組織票の公明党は11議席が見込まれる。これは固いと見てもいいだろう。問題は自民党がどの程度議席を伸ばすかだ。総選挙の結果や、内閣・政党支持率を勘案して分析すれば、選挙区で自民党は47か48議席。比例区で12議席は獲得する公算が大きい。つまり60議席前後だ。
そうなれば自公で70議席前後となり、非改選の58議席と合わせれば130議席前後となる。これをさらに細かくみれば自民党は1人区31議席中、沖縄と岩手を除いて席巻の29議席を獲得する可能性が高い。また2人区、3人区、4人区で各1議席、5人区の東京で2議席を獲得できそうだ。一方で民主党は、厳しい戦いを強いられている。1人区はあきらめるにしても、正念場の2人区など複数区で維新、みんななど第3極に追いまくられている構図が現出しているからだ。自民党に勝つには、野党の選挙協力が極めて重要だが、これも実現しそうもない。維新は民主党参院議員会長・輿石東に代表される日教組の影響を毛嫌いしている。入院中の石原慎太郎が復帰できれば、なおさら民主党とは対決路線で行くだろう。さすがに選挙の“神様”だけあって、生活の代表・小沢一郎は選挙協力の可能性について「1人区では非常に困難」と分析、2人区でも難しいと判断している。「3人区以上の選挙区で組めるかどうかだ」と述べているが、組めたとしても、自民党の勝利を阻むことができるほどのものにはなるまい。
この結果民主党は、改選議席の46を大きく割り込み、選挙区で10議席に達さない公算が出てきている。比例区も5、6議席がいいところであり、総選挙に次ぐ大惨敗となる。逆に維新は、太陽の党との合流でイメージダウンしており、総選挙の際の勢いはないものの、民主党に食い込むくらいの力は維持している。選挙区で7から8議席、比例区で10議席前後は取れるかも知れない。こうした選挙情勢から判断すれば、参院選挙後は自公政権で過半数に達する公算が強く、長期に政局を混迷させた、衆参のねじれ現象は解消する方向だ。安倍は長期政権の可能性が出てくる。参院でも維新は自公の補完勢力として存在感を強めるだろう。民主党は遠心力が作用して分裂の危機に瀕する可能性が強い。代表が海江田万里では能力的にたがを締め直すことは難しいだろう。当然新代表人事が俎上(そじょう)にのぼり、これを契機に、党内抗争が再燃する可能性が高い。
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