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2013-02-28 00:00
(連載)関税分野では満点の日米首脳共同声明(1)
緒方 林太郎
前衆議院議員
TPPに関して日米首脳共同声明 (日本語訳)が出されました。内容的には「当たり前のことを確認した」ということだろうと思いますが、たしかにこれが首脳間で確認できていることはとても大きなことだろうと思います。こういう文章を読むときには、2つのことを念頭に置くことが必要です。(1)何が書いていないか、(2)もっと簡単に表現できるのに、余計な文言が付いていないか、この2つです。(1)はとても重要でして、本来入れるべきものが入っていないということはそれが何らかの理由で落とされているわけです。そこを推量することは交渉の姿を見出すきっかけになります。勿論、これは全体のピクチャーが見えていないと分からないわけですから、非常に難しい作業です。今日はこの部分は触れません(というか、あまりそういう部分がないので)。
(2)は、この共同声明の中で最も注目されている「it is not required to make a prior commitment to unilaterally eliminate all tariffs upon joining the TPP negotiations」との関係でとても重要です。日本の慎重派の方が求めているものを簡単に書こうと思えば、「it is not required to make a commitment to eliminate all tariffs(全ての関税を撤廃することを約束することを求められるものではない)」で足りるはずです。つまり、この文章に付け加わっている「prior」、「unilaterally」、「upon joining the TPP negotiations」という3つの用語にはそれぞれ意味があるということです。
そういうふうに考えると、「not prior」、「not unilaterally」、「after joining the TPP negotiations」の時については何も書いていないということになります。したがって、「交渉参加後」、「一方的にでなく(多数国間で)」はまた別のご相談ということになります。ただし、ここまで書いている以上は何らかの例外が確保できるということについて相当に高い期待感を持つことはできるでしょう。そういう観点から、これを首脳で確保できたということは、現時点では満額回答ということでいいと思います。これ以上は無理です。その一方で、「all goods would be subject to negotiation」は入っていますし、「high-standard」という言葉も入っています。
それらをすべて合わせて考えると、「交渉に入った後、ハイスタンダードな関税撤廃率で加盟国が一致してくる時には日本も別途の判断を求められる」ということになります。勿論、その「一致」の中には日本も入りますから、日本がどれだけ頑張れるかということになりますが、私の感覚的には最低でも品目ベースで95%、普通に考えれば97%以上の撤廃率くらいで足並みが揃ってくるのではないかと思います(交渉の打ち出し段階ではもっと高い数字で来るような気がします)。(つづく)
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