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2013-01-30 00:00
野党、三つどもえの揺さぶり合戦
杉浦 正章
政治評論家
大げんかはしたが、やはり野党連携の焦点は日本維新の会とみんなの党であろう。この2党が脳しんとうを起こして息も絶え絶えの民主党を食いちぎれるかどうかだ。しかし、維新、みんな、民主それぞれに分裂要因を抱えており、内情は混沌の極みだ。自民党は「当分様子を見て、チャンスが来たら手を入れてゆく」(党幹部)と虎視眈々と動向を注視している。物事には表と裏が常に存在する。1月27日のみんなの党の党大会で代表・渡辺喜美が「維新との合流はない。維新には猛省を促したい」とあえて発言、維新共同代表・橋下徹を挑発した思惑はどこにあるのかだ。なぜ党大会の場を選んで維新に喧嘩を売ったかだが、背景には維新との合流を巡る党内の確執がある。渡辺は合流に前向きな幹事長・江田憲司が煙ったくなってきているのだ。江田は維新幹事長・松井一郎と23日に会談、参院選の1~3人区で候補者を一本化することで合意。両党の合流も視野に政調会長同士で政策協議を進める方針でも一致している。27日の北九州市議選でも、選挙区のバッティングを避け、みんなと維新が各3人ずつの候補を擁立して計6人が全員当選を果たすという成果を達成している。
渡辺はこの江田ペースの進展に、党分裂の危機を感じて引き締めを図ったのが、維新に向けてけんかを売った経緯のようだ。渡辺は、総選挙前に橋下が合流を直前でキャンセルして、石原慎太郎の太陽の党と合併した“裏切り”がトラウマとなっているのだ。新党志向の江田をけん制して、党内固めを計ったのだ。橋下が仲直りの電話をかけても渡辺は出ず、橋下は留守電にメッセージを残している。一方で江田は、電話に応じて「双方撃ち方止めとしましょう」と取りなしている。今後も橋下・江田ラインで物事は展開する様相を見せている。渡辺は、石原が憎くてたまらない様子がありあり。側近には「石原を切らないと3極は伸びない」と漏らしており、石原・太陽グループを橋下が切り捨てるよう、陰に陽に働きかけている。身の危険を感じたか石原も、渡辺を不倶戴天の敵扱いで、渡辺に対して「ちょっとばかり『おとっつぁん』とはだいぶ違う。自意識がありすぎるんじゃないか」と究極の一発をかましている。
「おとっつあん」とは、言うまでもなく昔自民党時代に「青嵐会」で行動を共にした元副総理の渡辺美智男だ。確かにこの親子は政治家の大きさや度量においても格が違う。渡辺はこまっちゃくれているのだ。いずれにせよ維新とみんなの合流にとって最大の阻害要因が石原であり、橋下は第3極を第2極にするためには、石原と袂を分かつかどうかの決断を迫られるだろう。もともと選挙目当てで石原を担いだが、大失敗に終わったのであり、本心は“老害除去”にあるのだろう。一方橋下は28日、「みんなの党、民主党の一部と合流して、自民・公明両党の勢力に続く「第2極」を目指す新党を結成する」との構想を打ち上げた。政界では「人が良い」と馬鹿は同義語だが、民主党は、その「人が極めて良い」と言われる代表・海江田万里や幹事長・細野豪志の存在感が薄く、再分裂が常にささやかれている。民主党は、自民党を始め野党各党からピラニアのように食いちぎられる恐れが出ているのだ。生活代表・小沢一郎も自らに近い輿石東を使って、分裂・合流を策しているといわれる。橋下が狙うのは、まず民主党政権時代から接触のある前原誠司だ。前原グループは、半減したとはいえ、衆参約20人を擁している。これに野田グループ約10人が加われば相当の勢力になるだろう。安住淳らとも近い関係にある。
民主党は大失政の上での大敗北であり、予見しうる将来政権に復帰できる見通しはゼロと言ってよい。したがって離党して展望のある政党に移りたいと、うずうずしている議員が多いのが実情だ。海江田では求心力どころか、遠心力が働くばかりである。自分が切られかねないことも棚に上げて、石原も28日「まず民主党を割らせることだ。労働組合に左右される議員と、中選挙区制度なら自民党で出馬するような議員が、水と油で一緒になっているのはおかしい」とくさびを打ち込んでいる。野田や前原のように、他党の優秀な政治家と比較しても遜色のない判断力を持っている政治家は、本来なら三顧の礼を以て迎える政党があってもおかしくない。しかし、野田や前原がが“大阪のあんちゃん”橋下の配下につくことなどは想像しがたいところでもある。むしろ自民党に移った方が展望が開けるかも知れない。橋下は記者から「民主の一部とは誰か」と問われ、「そんなことを言えるわけないじゃないですか」とけんもほろろの回答をしたが、実際には言えるほど話は進んでいないのだ。橋下も揺さぶりに出ているだけなのだ。いずれにしても民主党は第3極に押されまくっており、弱肉強食の政界で今後“揺さぶられ”続けてゆく運命にある。自民党はこうした野党の三つどもえの“あがき”を見極めつつ、まずは政策ごとの部分連合などで地歩を固めてゆくことになろう。
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