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2013-01-26 00:00
(連載)「日中対話」に参加して(2)
池尾 愛子
早稲田大学教授
若者たちは上の情報から、少なくとも「中国が尖閣諸島を国有化してほしくなかったのは、本当のようだ」とは推論することができるが、しかし「それはなぜだ」という疑問が残るとしたようだ。それで、「中国が尖閣諸島を日本に国有化してほしくないのはなぜか」という問いを、私にぶつけてきたのである。
そこで私は、中国の土地所有制度が土地私有を認めないなど、日本の土地所有制度と極端に異なるので、「私有地を国が買って国有化する」ことの意味が国民に説明しにくいからではないか、と回答した。24日の対話の席で、このエピソードを紹介して私の「回答」に間違いがあれば正してほしいとしたものの、日本での受け止め方は中国側では予想外で、直接レスポンスするような用意(合意)はなかったように思われる。
ただこうした反応や「回答」は私たちにとどまらないようで、私より多少若そうな人々の間でも、中国の土地所有制度に対する関心が高まっている。売買されるのは土地自体ではなく、土地使用権であり、それも通常70年で消滅するとのことである。これは確かに土地の売買(土地使用権の売買)を活発にする効果はある。では、「土地を住宅などとして利用したい人にとっての最適戦略は如何に」と議論はつづく。外国人は土地使用権を購入できるのか、という質問も出てくる。政府が土地を接収する権利をもっているので、土地使用権はいつでも消滅しうる、という付帯条件も飛び込んでくる。この条件は大きな不満を呼ぶようだ。
話は元に戻って、土地所有制度に対する不満が噴出するのを防ぐために、中国は日本に尖閣諸島を国有化してほしくなかった、と推論される。これを受けて、国内問題を隠蔽するために隣国に戦争を仕掛けようとする国があるならば、日本も再軍備するしかない、という結論が出てくるのは自然なことである。若者や若手の人たちがどう考えるかが鍵を握りそうな予感がする。彼らが戦争を望んでいるわけではないことも確かだと思う。(おわり)
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