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2012-12-17 00:00
ロシアの新外交方針が示す優先国・地域とは
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシア外務省が作成した3期目のプーチン政権の外交方針が明らかになった。流動的な国際情勢が続く中で、ロシアは旧ソ連諸国との関係を最優先し、次いで欧州、米国、中国、インドの順に優先地域・国を列挙している。日本は名指ししておらず、重要なパートナーとはみなされていないようだ。14日付けのロシア紙『コメルサント』(電子版)によると、この外交方針は、プーチン大統領の指示を受けて外務省が作成したもので、「ロシア外交の概念」というタイトルがついている。国際情勢はますます予測が困難になり、流動的になっていると分析し、こうした中でロシアは安定性を追求しなければならないと結論づけている。
外交の手法として注目されるのは、「ソフトパワーを有効に使う」と明記していることだ。米国などでも軍事力に変わる手法としてソフトパワーがクローズアップされているが、ロシアがこれを明確に打ち出したのは初めてだという。具体的には、ツイッターなどの新しい情報通信技術や人道的手法、古典的な外交手段などを使って、国家の公正な姿を創造することを目指している。地域的な優先度について外交方針では、「旧ソ連諸国との統合を最優先する」と述べ、独立国家共同体(CIS)、関税同盟、ユーラシア経済同盟などを重視するとしている。これは、プーチン大統領が就任前から主張している「ユーラシア同盟」の構築につながるものである。
優先順位の2番目には欧州連合(EU)を挙げ、欧州の重要なパートナーとしてドイツ、フランス、イタリア、オランダの4カ国を名指ししている。続いて米国を取り上げ、両国の間で平等な核軍縮の保障と内政不干渉を含む国際ルールの順守を実現するとしている。その後に中国、インドを挙げ、両国との友好関係の発展を目標に掲げている。最後に、アジア太平洋地域を「世界の経済、政治の重心が移りつつある、最もダイナミックに発展している空間」と表現している。だが、日本をはじめ、アジアの具体的な国名までは挙げておらず、ロシアが今後、具体的にどういう外交を進めていくかははっきりしない。
プーチン大統領は12日の年次教書演説で「21世紀の発展のベクトルは東だ」と言明し、経済の重点を欧州からアジア太平洋地域に移す方針を明確にした。また、日本との懸案の北方領土問題解決の意欲をすでに示しているが、この外交方針からは具体的な展望は見えてこない。大統領の意向が外務省にまで伝わっていないのか、それともそもそも日本を重視していないのだろうか。
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