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2012-12-03 00:00
中国封じ込めと新たな日米関係への取組み
大井 幸子
SAIL代表
泥の中に根を張り咲き誇る蓮の花、アウンサンスーチーさんはその大輪のよう。美しいアウンサンスーチーさんの肩を優しく抱き抱えるオバマ大統領の写真が、11月19日の各新聞のトップを飾った。その翌20日にある研究会でケント・カルダー氏にお会いした。カルダー氏は、私の母校ジョンズホプキンズ大学高等国際関係大学院(通称SAIS)でライシャワー東アジア研究所の所長を務められている知日派である。
カルダー氏は米中関係、日中関係、日米関係、それぞれが摩擦を抱える複雑な三角関係に言及した。特に、中国から見ると、オバマ大統領のミャンマーやタイへの訪問からしても、米国は明らかに中国封じ込めに動いている。米国は、ミャンマーやタイに加え、インドネシア、モンゴルや中央アジア諸国(タジキスタンやウズベキスタンなど)といった中国の周辺国と友好関係を深め、経済的な包囲網を築いているという。
さらに、米国は日中間の戦争を望んでいないという。GDP世界第2位の中国と第3位の日本が戦争状態になれば、世界の安定を崩すし、世界経済にとっても大きな損失になるからだ。だから、クリントン国務長官は「断固日本をサポートする」とし、強固な日米同盟を演出しているという。このようなカルダー氏の意見を聞くと、中国からは強固な日米関係に見えるようにふるまうことが、日本にとっては重要なことだと思う。ところが、日本にはきちんとした危機管理メカニズムがない。外交当局と警察の協力もうまく機能していない。日本がアジア共同体のなかでリーダーシップを発揮しようにもその根拠づくりができていない。その理由は、カルダー氏によれば、日本の政治構造や国会運営に問題があるからだという。
12月16日の総選挙後、日本では新しい政権となる。日米関係修復といっても、日本サイドで努力すべき課題は多い。まずは、自主自立国家としてアジア地域の安定と発展に貢献し、そのうえで新しい日米関係の構築に取り組むべきであろう。米国は「財政の崖」に直面し、軍事予算を減らしている。そのなかで、日本が影響力を発揮できるチャンスでもある。
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