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2012-11-18 00:00
(連載)シリア国民連合の設立:内外の架橋は成るか(2)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
一方で、議長がクルド人であるにも関わらず、国民評議会にはシリア国内のクルド人勢力とほとんど結び付きがありません。シリア国内でクルド人の権利回復と民主化を求めているクルド民主党(Kurdish Democratic Party of Syria)からは、やはり少数民族としてのクルド人の権利を制約しているトルコから支援を受けていることを念頭に、「国民評議会にはトルコの影響が強すぎる」とも評されます。結局、欧米諸国を中心に、国際的な認知を引き出したとはいえ、国民評議会は反アサド勢力を結集するには至らなかったのです。
これに鑑みれば、今回ドーハで、アメリカ国務省やカタール、トルコなどの仲介のもと、国民評議会を柱に、シリア国民連合が結成されたことの意義は小さくありません。議長のハディズは、2011年と2012年に反体制蜂起を支援したとして逮捕されたことがあり、3カ月前までシリア国内にとどまっていました。そのうえ、どの政治組織にも属さず、ムスリム同胞団などイスラーム政党との関係もないとみられています。その議長就任は、海外と国内、世俗と宗派のバランスからみた場合、ごく順当とさえ言えるかもしれません。少なくとも、これによって内外の反アサド勢力が、より結集しやすくなったのは確かです。
ただし、シリア国民連合が、全ての反アサド勢力を結集することは、基本的に不可能と思われます。内戦発生以来、シリアには近隣諸国から反アサドのスンニ派、親アサドのシーア派の民兵がそれぞれ流入しており、その多くは立場こそ違っても、厳格なイスラームの教義に基づく国造りを志向する点で共通します。これらが半ば自律的に活動することが、シリア情勢を複雑にしているのですが、いずれにせよ、欧米諸国やトルコ、湾岸諸国から支援されるシリア国民連合に、周辺国から流入した、スンニ派の急進的な民兵が合流することは予想しにくいのです。
とは言えリビアのケースをみても分かるように、反体制派の結束は、戦闘の観点からだけでなく、国際的な支援や認知の確保の面からも極めて重要な意味をもちます。今後の展開は予断を許さないものの、シリア情勢は反体制派の有利に、さらに傾いたと言えるでしょう。(おわり)
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