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2012-11-17 00:00
(連載)シリア国民連合の設立:内外の架橋は成るか(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
11月11日、カタールの首都ドーハで、シリアの反体制派が結集した「シリア国民連合」の設立が合意され、穏健派のイスラーム聖職者アフマド・モアズ・アル・ハディブ(Ahmad Mouaz al-Khatib)が代表に選出されました。これはシリア情勢において、どんな意味をもつのでしょうか。これまで、アサド政権と対立する諸勢力の代表格として、特に欧米諸国から認知されてきたのは、亡命した在外シリア人たちを中心に構成され、トルコのイスタンブールに拠点をもつ「シリア国民評議会」でした。在外シリア人たちのなかには、欧米や湾岸諸国でビジネスに成功したひともあり、その資金は国民評議会を通じて、シリア国内で政府軍と戦闘を続ける自由シリア軍へも、軍資金として渡ってきました。
しかし、国民評議会はかねてから、内外の反アサド勢力を結集する力を疑問視されてきました。その最も大きな要因として、国民評議会の主要メンバーのほとんどが長くシリアから離れ、国内との緊密な関係が薄いことがあげられます。のみならず、国民評議会はシリア国内の基準からすれば、多分に欧米志向が強いことも、その一因でした。
2011年8月に、国民評議会の初代議長に就任したブラン・ガリアン(Burhan Ghalioun)は、もちろんシリア人ではありますが、1969年にフランスに移り、学位を得たパリ大学の社会学教授です。スンニ派のムスリムで、シリアの反体制派に欧米諸国との安易な協力を戒め、内部からの改革を訴えてはいましたが、やはり国民評議会に所属するムスリム同胞団幹部は、ガリアンの議長就任が「シリア騒乱のなかでイスラーム主義者の勢力が広がるのを恐れた欧米諸国に受け入れられるものだったから」と述べました。この証言に象徴されるように、一般的なシリア人の目に、ガリアンがあまりに西欧化されすぎ、自分たちからかけ離れた存在に映ったとしても、不思議ではありません。
ガリアンは在外シリア人をもまとめきれず、それに代わって今年6月に議長に就任したのは、スウェーデンを拠点に、シリアの少数民族クルド人の権利回復運動を行ってきた、アブデュルバセド・シダ(Abdulbaset Sida)です。クルド人はトルコ、イラン、イラク、シリアなどの一帯で暮らし、固有の文化からいずれの国でも自治権を要求しながらも、各国政府から弾圧されてきた、「世界最大の少数民族」です(米軍によるイラク攻撃後のイラクでは、新憲法のもとで各州に高い自治権が付与され、クルド人の政治的権利も保障されている)。欧米諸国で同情を集めるクルド人を議長に据えたことも、少なくとも結果的には、対外的なイメージ向上に寄与しました。(つづく)
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