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2012-10-26 00:00
(連載)遠隔操作パソコン冤罪事件は国家安全保障問題(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
深刻なサイバー攻撃を自衛権の対象とする以上、発信源の特定と、態様の正確な把握は必須である。さもなければ、「踏み台」とされた国に、誤って自衛権を発動しかねない。我が国のサイバースペース防衛に当たるのは、主として、警察、そして自衛隊であるが、今回の冤罪事件は、我が国のサイバーセキュリティを司る主要当局の一つである警察が、これほど重要な発信源の特定を、どれほど軽視したかということを、如実に示した。警察当局には、IPアドレスを特定すればそれで終わりだと思った、という声がある、と報じられているが、それが事実ならば、あまりにもサイバーセキュリティに関する常識を欠いており、開いた口が塞がらない。
もちろん、直ちに自衛権発動の対象になるようなサイバー攻撃が発生するような状況は、さしあたって考えられない。しかし、今回の冤罪事件で明らかになった、サイバーセキュリティへの意識の低さと取り組みの致命的な不備は、我が国に対する比較的低強度のサイバー犯罪をより多く惹起させることになるかもしれない。また、サイバーセキュリティの確保においては、同盟国・友好国との連携が不可欠だが、こうした国々が我が国との連携に二の足を踏む可能性もある。そうなれば、我が国のサイバースペース防衛戦略は大きなハンディを負うことになる。
まずは、警察組織においてサイバーセキュリティの専門家を大幅に増員する必要があり、専門の部署に、より大きな権限を与える必要がある。さらに、サイバーセキュリティは自衛隊の問題でもあるのだから、両者の緊密な連携による、情報やノウハウの共有は、促進されなければならない。もちろん、自衛隊は法執行機関ではないので、なかなか困難であろうが、サイバー犯罪の捜査においては、場合によっては、自衛隊の専門家も加わったダブルチェックの仕組みができないか、検討してみる余地もあろう。
今回の冤罪事件を契機として、我が国のサイバーセキュリティ対応の意識と能力を大きく変革させることが最重要課題であり、そうしなければ、サイバースペースが「第5の戦域」となっている現在の戦略環境においては、国家の安危そのものに関わると言っても過言ではない。(おわり)
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