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2012-10-25 00:00
(連載)遠隔操作パソコン冤罪事件は国家安全保障問題(1)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
今年の7月から9月にかけて、遠隔操作されたパソコンからインターネット上に犯罪予告が連続的に書きこまれた事件の容疑者として4人が逮捕され、いずれも誤認逮捕であることが明らかになるという冤罪事件が発生し、大きく取り上げられている。この件については、警察当局が、脅迫的かつ誘導的な尋問によって、被疑者に強引に自白を迫った、典型的な冤罪事件として、捜査当局への厳しい批判がわき上がっている。確かに、こういう冤罪事件は、我が国の犯罪捜査への信頼を大きく損ねる人権問題であり、真犯人の逮捕、そして、十分な検証と再発防止策が求められるのは当然のことである。
ただ、本件は、単なる冤罪事件の枠にとどめるべきものではなく、国家安全保障にもかかわる問題であるとの認識が必要である。しかし、報道等を見ていると、この側面にあまりにも目を向けていないように思われる。
サイバースペースは、今や、領土・領海・領空や宇宙空間と並んで、国家安全保障の対象である。サイバー攻撃は、原発、高速鉄道、水道網、電力網といった重要インフラの誤作動などを通じて、国家に甚大な被害をもたらす可能性がある。米国は、昨年7月には、既に、サイバー攻撃に対して通常兵器をもって報復することもありうべし、という戦略指針を打ち出している。さらに、パネッタ国防長官は、10月11日に行ったサイバー攻撃についての講演で、「サイバー真珠湾」の危機が迫っていると警告を発するとともに、サイバー攻撃に対する先制攻撃を示唆する、踏み込んだ発言すらしている。我が国の自衛隊も9月に発表したサイバー攻撃に対する指針において、サイバー攻撃を態様によっては自衛権発動の対象になると位置付けている。
サイバーセキュリティへの対処における重大な困難は、主に次の2点である。まず、サイバースペースにおける害意ある行為は、発信源の特定が極めて困難である。サイバースペースにおいて何らかの悪意ある行為を実行するアクターは、今回の犯罪予告冤罪事件の真犯人がやったように、IPを偽装し他者になりすますのが常識である。2点目は、その強度がどの程度のものになるか、直ちには把握することが困難なことである。すなわち、単なる悪戯から、企業等の脅迫、そして、自衛権発動の対象となるようなサイバー攻撃まで、極めて広範にわたる。(つづく)
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