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2012-10-24 00:00
(連載)フリーダム・ハウスの警告にみる日本の世界政策(2)
河村 洋
外交評論家
現在、NATOシカゴ首脳会議で見られたように、大西洋同盟には遠心力が働いている。また日米同盟も沖縄基地問題をめぐって大きく揺れている。専制諸国と過激派はこうした機会を逃さない。民主主義の後退から立ち直り中東の自由を支援してゆくためには、主要先進民主主義国の戦略的パートナーシップを再構成して自由の価値観を全世界に広める動きを主導すべきである。こうした民主化のイニシアチブは日米欧だけのものではない。戦略パートナーシップが立ち上がったら、次は新興民主主義諸国とも手を携えて民主化を促進すべきである。そうした国として、インド、オーストラリア、イスラエル、韓国などが挙げられる。
日本としては何ができるのだろうか?日本はこうした普遍的な価値観の分野では欧米諸国のように理念を高らかに謳い上げることは得意ではなく、リーダーシップはとれないと言われることが多い。また現段階で軍事的な貢献能力は限られているが、地道で粘り強い努力で存在感を発揮することは得意であろう。その代表例が対ミャンマー政策である。アウンサン・スー・チー氏の政界復帰に見られるように、世界でも最も専制的だったミャンマーの民主化はゆっくりと進展しつつある。アメリカのヒラリー・クリントン国務長官、イギリスのデービッド・キャメロン首相のミャンマー訪問と制裁解除の影には、日本が長年にわたって築き上げてきた取り組みもプラスに働いたであろう。
アフガニスタン政策も日本ならではのリーダーシップを発揮できる例である。すでに二度のアフガニスタン復興会議を主催したばかりか、日本はアメリカに次いで第2位の支援国である。ハワイ大学のジェフリー・ホーナング准教授は8月1日付けの『ディプロマット』誌への投稿で「日本のアフガン政策は国際社会の普遍的利益を追求しているが、中国は自国の利益ばかりを求めている」と評している。しかしそれでもまだ日本にはできることがある。その一つが歴史教育での貢献である。アフガニスタンでテロの温床となっているイスラム過激思想の根絶には、当地の国民の間でイスラム以前からの自国の歴史に関心が広がる必要がある。この国は古代ヘレニズム仏教の地なので、仏教の知識が豊かな日本がアフガニスタンの歴史教育に貢献できれば、反西欧的な過激思想の基盤を弱体化できる。日本がバーミアン大仏の修復も関わっていることを忘れてはならない。
世界的な民主主義の後退を逆転させるためにも、上記のような日本のリーダーシップが役立つ。軍事行動が必要な場合には、良きフォロワーとしての役割も重要である。例えば専制国家イランの核保有のためにホルムズ海峡の封鎖を阻止するために、日本にはホルムズ海峡で掃海活動が期待されている。世界の民主化の促進は日本にとっても重要な政策課題である。米欧および新興民主主義国との連携をどのように形成すべきか模索してゆくことが望まれる。(おわり)
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