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2012-10-23 00:00
中国の反日教育と“アニメ・一休さん”
若林 洋介
学習塾経営
最近の日本のテレビ番組を見ていると、対中国認識に非常に偏向があるように思えてならない。テレビ番組では、日中関係の政治的な側面にばかり注目した情報が集中しており、いかにも中国人全体が反日意識のかたまりであるかのような印象を受けてしまうのだ。また子どもたちには、歴史教育の一環として、日中戦争の時代における日本軍の蛮行(南京事件など)が教え込まれていることは確かに憂慮すべき点であることはまちがいない。
しかし、その一方において、80年代の鄧小平氏の改革開放政策以降、日本文化の紹介もなされるようになり、特に80年代以降の子ども達は、「アニメ・一休さん」で育った世代であると言われている。ネット・ニュースによると、今年6月30日に日本のテレビ・ドラマで放映されたアニメでない「実物ドラマ・一休さん」については、日本人以上に在日中国人青年達の反響が大きかったようだ。2012年7月2日付で『サーチナ』は「1980年代生まれの中国人は日本の有名アニメ『一休さん』とともに成長してきた。実写版『一休さん』が6月30日、日本で放送されると、中国のネット上では賛否両論の声があがった。(中略)ただ、ほとんどの中国人は今回のドラマで昔、毎日学校が終わると家に走って帰り必ず見ていた『一休さん』の美しい記憶を思い出していたようだった」と報じた。
日本人の子ども達も「一休さん」を見て育った子どもも多いが、人口比から言っても、また文化的情報の少ない中国の子ども達に対する「一休さん」の教育効果は、日本人の比ではないだろう。こういうことを日本国民はしっかり知る必要がある。外交問題もつまるところ、国民感情・国民心理の問題となるが、こういうニュースも日本国民が知ることは重要なことではないのか。「一休さん」は単なる日本のアニメ文化ではない。仏教(禅)の「慈悲と智恵」の教えがわかりやすく説かれている、日本人の心の文化でもある。
「一休さん」に強い親しみを感じている中国の青年達に「日本国民は、尖閣問題を“一休さんの頓知とユーモアで何とか解決したい”と思っている」というメッセージを発すれば、意外と受けるような気がしてならない。それが根本的解決となるとは思わないが、中国の青年達と日本国民とのコミュニケーションの共通項として“一休さん”があることを知ることは大切なことではないのか。一休さんなら、尖閣問題の難題についても、「まずは、お互いに冷静になること。そのためには、一休み、一休み」というに違いないと思うのだが。
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