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2012-09-30 00:00
(連載)中国・反日デモの後始末をどうすべきか(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
日本政府による尖閣諸島国有化を直接的なきっかけとする中国での反日デモは、中国政府による押さえ込みにより、9月19日には概ね収束しました。今回のデモや破壊行為は、日中間の関係を再考する契機になるといえるでしょう。今回の出来事の導火線は、今年4月16日の石原東京都知事による尖閣諸島購入計画の発表にありました。昨年の中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件や、中国海軍の海洋進出を受け、東京都が地権者から尖閣諸島を買い上げるという計画には全国から寄付金が集まりました。その総額は9月20日現在、102,816件、約14億7400万円にのぼります。
その寄付金の集まり方からみれば、尖閣諸島が日本の領土であるという主張、そして中国に対する根深い不信感を隠さない石原都知事の計画は、その良し悪しはともあれ、少なからず世論の支持を集めたように思われます。同時にまた、当初は政府の関与を拒絶しながらも、途中で国有化を容認する姿勢をみせ、さらに集まった寄付金を次期政権に委ねる方針を示したことは、少なくとも結果的には、解散・総選挙を睨んで民主党を揺さぶる効果があったといえるでしょう。
いずれにせよ、地方自治体あるいは政府が保有すると宣言すれば、中国を刺激するであろうことは火をみるより明らかで、その意味で丹羽・元駐中国大使がこの計画に「日中関係に深刻な影響を及ぼす」と懸念を示したことは、政府見解と異なるという批判を浴びたものの、ごく常識的な意見だったとさえいえます。ただし、この見解は、あくまで今の日中関係を所与のものとする、現状追認に過ぎない点も、見過ごすことはできません。つまり、尖閣諸島をめぐる国内の意見は、中国に対してあくまで強硬に領有権を主張することで世論の支持を集める立場と、現在の経済的な関係をとにかく崩さないように腐心する立場に大きく分かれたとみることができます。
その一方で、今回の反日デモ・暴動は、中国の国内情勢を改めて浮き彫りにしました。歴史認識や愛国教育に根ざした対日不信や、ソーシャルネットワークの普及がその背景にあることは確かですが、それだけでなく現下の格差や経済停滞に対する社会不満も無視できません。実際、例えば日本企業で働いている人がデモに参加したという話は聞きません。つまり、生活に対する不満がデモや暴動の一つの大きな原動力であったといえるのです。(つづく)
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