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2012-09-26 00:00
野田は「すぐ解散」を条件に、赤字国債を成立させよ
杉浦 正章
政治評論家
幹事長・輿石東が留任になったから本当に「解散先延ばし」なのだろうか。一幹事長人事で一斉に「先延ばし」と書いたのは政治記者の“短絡”か、読みの浅さが原因ではないのか。近ごろの政治記事は、政局の読みを恥ずかしげもなくころころ変えすぎる。筆者は、むしろこれからが正念場だと見る。臨時国会での「近いうち解散」の目は、薄れるどころか、依然としてその存在感があるのだ。なぜなら自公両党が政権奪還へのチャンスととらえて、野田に約束させた事実上の“10月解散”を、輿石が幹事長になったからなどと言う馬鹿な理由で、“手放す”わけがないからだ。きょう(9月26日)に決まる自民党新総裁の最初にして最大の課題は、解散を勝ち取るところにあるのだ。恐らく新総裁にこの流れを引き継がせ、アドバイスするためだろう。自民党総裁・谷垣禎一が25日、公明党代表・山口那津男と会談した。先に民主・自民・公明の3党の党首で、「近いうちに国民に信を問う」ことで合意したことを踏まえ、臨時国会に向けての最終戦略を練ったのだ。席上谷垣は「野田首相から3党党首会談の申し出があるだろうが、そこが最初の勝負だ。先の3党党首会談で『近いうちに国民に信を問う』という合意をしたので、野田首相がきちんと実行するよう、臨時国会の速やかな召集を求め、衆議院の早期解散に追い込まなければならない」との基本戦略を表明、山口も「全く同感」と応じた。
自民党筋によると、両者は首相問責決議可決を背景に、赤字国債法案と定数是正法案の成立との“取引”で一日も早く解散に追い込むことでも一致した。もちろん臨時国会は状況次第で「止める」方針も確認したという。両者は野田包囲網を再確認したことになる。これに対して野田は、どういう手段に打って出るのか。党役員人事をつぶさに分析すれば、その方向は見えてくる。輿石留任だけを見ると「あわよくば解散先延ばし」に傾斜しているように見える。おまけに野田は、通常国会で散々消費税成立に逆らってきた輿石を「献身的に支えて頂いた」と褒めあげた揚げ句に「一蓮托生で、代えることは全く考えていなかった」とまで言い切った。だが、真の狙いは「党分裂回避」にある。野田は輿石に離党志向組との“つなぎ”役を演じさせるつもりなのだ。新執行部人事の最重要ポイントは財務相・安住淳を幹事長代行に据えたことにある。輿石の腰巾着で、しょっちゅう口を開けている幹事長代行・樽床伸二を切ったのだ。
国対委員長には、安住が国対委員長時代に副委員長だった山井和則を入れたのも、安住を補強するためだ。安住は選対委員長を2度経験しており、選挙に疎い輿石に代わって、采配をふるうことになる。結局野田は、輿石による執行部の「関東軍化」に、くさびを打ち込んだのだ。野田が重視するのは、安住の対野党対策だ。自民党の森喜朗や公明党国対委員長・漆原良夫と関係が良好な安住と、安住と親しくやはり自民党との関係が良い岡田克也を閣内に据えて、対野党対策に万全を期そうというのであろう。さっそく安住は「党内融和という言葉はあまり好きではない」と語り、輿石をけん制している。こうして民主党執行部は輿石の「裸の王様化」が実現して、危急存亡の臨時国会を迎えることになる。
そこで生きてくるのが“3党合意”だ。野田は24日「3党合意を着実に進めることがわれわれの責任で、そういう体制をつくった」と述べた。輿石を留任させておきながら3党合意でもないものだが、さすがに「3党合意体制」抜きでは政治が進まないことが分かっているようだ。3党合意の“核”はもちろん「近いうち解散」にあるが、総選挙後の社会保障をめぐる「国民会議」も重要な路線だ。なぜなら政界再編や連立の可能性を内包しているからだ。そしてその3党合意なくして、赤字国債法案の成立は実現させられない。もちろん財務省寄りの安住が、何よりも同法案の成立を優先させるであろうことは間違いない。人事が物語るものは「あわよくば先延ばし」から「二法案と引き替えに解散」へと傾斜してゆく可能性が強いことに他ならない。今後野田は、10月はじめの内閣改造人事の後に、自公両党に党首会談を持ちかける方針だ。先に述べたように、野田は3党合意重視の方針も明らかにしている。党首会談では野田の「近いうち解散」を脱皮させて「すぐ解散」を条件とするだろう。野田はここまで来たら、もうジタバタすべきではない。赤字国債と「0増5減」の定数是正だけを成立させて、約束通り解散・総選挙を断行すべきだ。それが憲政の常道だ。
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