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2006-09-08 00:00
マス・メディアの国際報道ぶりへのお願い
湯下 博之
杏林大学客員教授
新聞やテレビなどマス・メディアの持つ影響力が極めて大きいことは、誰の目にも明らかであろう。私たちが世の中の動きを知るのは、殆んどがマス・メディアを通じてであるといってよいくらいであるし、いろいろな出来事についての見方や考え方でさえも、マス・メディアに影響されることが少なくない。そして、マス・メディアで伝えられないことについては、かなり重要なことであっても、私たちは知らないで終わってしまう。したがって、マス・メディアが何を伝え、何を伝えないか、どういう伝え方をするか、といったことは、私たちが何を考え、何をするかということに密接にかかわってくる。
前回、私は、「『井の中の鯨』のままでよいのだろうか」(8月9日付けの「議論百出」投稿記事)という題で、日本人がもっと外の世界に目を向ける必要があるということを述べた。では、そのためにはどうすればよいか、ということになると、いろいろなことが考えられるが、一つの大きな鍵はマス・メディアであると思う。
私は、かつて、東アジアの5か国(インドネシア、タイ、中国、ベトナム、フィリピン)に勤務した経験があり(それ以外では、英国、米国、カナダで勤務した)、今でもそれらのうちの若干の国の新聞に目を通しているが、これらの新聞が、その国と外国との交流について、国の大小を問わず、こまめに報じていることに感心している。ああいう報道がされれば、その国の読者は、自然と広く世界に目が向き、国の大小を問わず外国についての、或いは自国とその国との関係についての、知識を持つことができるわけである。
その点、日本のマス・メディアは、大国については、大々的にかつ詳細に報じるが、それ以外の国については、何か事件があったり紛争があったりすれば取り上げるといった感じで、逆にいえば、何か問題がなければ取り上げないという印象を受ける。
例えば、その国から大統領や首相が訪日しても、せいぜい片隅で小さく取り上げられる程度で、場合によっては全く報ぜられないで終わってしまい、日本人の殆どの人が知らないで終わることが珍しくない。これは、冒頭に述べたことから考えると、誠に残念かつ惜しいことである。
日本は、日本だけでやって行ける訳ではないし、大国とだけうまくやって行けばそれで済むという訳でもない。世界中の国々との関係を頭に置いておかないと、日本の利益が損なわれるのである。外国の大統領や首相の訪日は、その国にとっても重要なことであり、訪日がどのような成果を生み、日本でどのように受け止められたかといったことは、その外国にとって大きな関心事であろうし、その国のマス・メディアで報ぜられ、その国の国民に伝えられるであろう。ところが、日本では殆んど報ぜられないということになると、日本国民は、そういう訪日があったということ自体知らないで終わってしまう。訪日でどういうことがあったかとか、日本とその国との関係に目を向けるといったことなどに、日本国民の関心が及ばないのは当然である。
そこで、マス・メディアに是非ともお願いしたいことは、外国から大統領や首相が訪日した際は、必ず、国民の目に触れる大きさで報道していただきたいということである。併せて、その国の紹介や、日本とその国との関係についても解説していただければありがたい。そういうことが積み重ねられれば、日本国民の目が広く外に向けられ、外国との相互理解も進むであろう。そのことは、国際社会で生きて行く上での日本にとって重要なことである。
以上は、マス・メディアにお願いしたいことの一例であるが、これ一つが実現するだけでも、日本の将来にとって大きな意味があることだと思う。
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