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2012-09-21 00:00
「衆愚の選択」で維新の大量進出を許すな
杉浦 正章
政治評論家
この国ほど選挙の下手な有権者がいる先進国は少ない。ガバナビリティの基本がなっていない。毎回5割を超える浮動票が「風」を起こして、国の政治の基礎を作ってしまう。とりわけ小選挙区制になってからその傾向が著しい。民主党に308議席を与えた結果は、3代にわたるポピュリズム志向の首相による政治の混迷である。その浮動票が今回は紛れもなく日本維新の会に向かおうとしている。政治への飽くなき野望を抱く大阪のポピュリストが大量の“維新ベビーズ”を登場させようとしている。新聞は発行部数への影響を考慮して書かないから、あえて書こう。有権者は「衆愚の選択」をすべきではない。もっと熟慮の上の「知的な投票行動」に出るべきだ。世界有数の知的水準を誇る国にしては、有権者の質が悪すぎるのだ。質の悪さは何が作り出すのかと言えば、政治への無関心だ。その無関心が“にわか勉強”で投票行動に出るのが、浮動票の本質だ。そしてにわか勉強の先生になるのが、みのもんたに象徴される低レベルの民放ニュース番組の司会者とコメンテーターだ。ことあるごとに政治に「安易な駄目」を出す。問題なのは、もんたが駄目を出すとコメンテーターらが付和雷同することだ。事前の打ち合わせがある証拠だ。この民放テレビの「駄目出し」に、世界有数の知的水準にあるはずの有権者、大学を出たはずの家庭の主婦らが、何の批判もなく乗ってしまうのだ。
今の民放テレビによる“床屋談義”のはやり言葉は、「何も出来ない政治」だが、それほど政治は駄目だろうか。ホワイトハウス詰めの記者時代にパーティーで米政府高官から「日本は長寿国だが、長寿は政治の総合芸術だ」と褒められたことがある。たしかに日本は世界もうらやむ長寿国であり、原発がゼロになったり、馬鹿な指導者が戦争を起こしたりしない限り、これは継続するだろう。これは戦後の自民党政治がとやかく言われながらも、大局においてはかじ取りを誤っていないことを物語る。しかし、3年前からその傾向は変わった。民主党政権が虚飾のマニフェストを基に内政・外交に渡る失政を繰り返したのだ。失政の中でも最大かつ許しがたい失政は、普天間ではない。3.11大震災復興の驚くほどの対応の遅れと、原発事故への判断ミスだ。民主党に投票した被災者は泣くに泣けない状況であろう。浮動票に流れがちの衆愚は、自民党政権の泥酔蔵相が象徴する政治の弛緩に嫌気をさして、民主党を選んだが、3年かけてこれも大失敗であると気付いた。さて次は何処に投票するかと考えれば、大阪で威勢のいい政治家が旗を揚げた。政治の現状を批判して歯切れがいい。「こっちに投票してみるか。みのもんたも政治の現状を嘆いているし・・・」というレベルの錯覚が維新への雪崩現象を起こそうとしているのだ。世論調査の出方を分析すれば、確実に民主党が食われる流れとなって来ている。
翻って大阪のポピュリスト橋下徹が、既成政党に取って代われるほど立派かと言えば、とんでもない食わせ者だと思う。まず、自分が立候補せずに党首となり、市長と兼務するという。国政を馬鹿にするにもほどがあるといいたい。「遊びに行く時間を削れば、兼務できる」という程度の認識で、国政に参与できると思っているのだ。タレントのタレントたるゆえんだろう。定数問題が国会で焦点になれば、いきなり「定数半減」を唱える。経費削減のためだというが、もとより実現は不可能だ。それよりも筆者に言わせれば、維新の会が維新ベビーズを80人当選させたとしよう。国会議員は1人年間1億円の国費がかかる。歳費、立法調査費、文書通信交通滞在費、秘書給与、1人当たりの政党助成金などを合計すれば1億円余だ。党首が国政の場にいない烏合の衆の誕生は、80億円の無駄遣いになるのは必定だ。民主党に308議席取らせて、3年間で1000億の国費を使った。このうち小沢チルドレン約100人に300億円を使ったが、これに次ぐ無駄遣いになることは目に見えている。
橋本は、自民党総裁候補らからも袋叩きにされ始めたが、さすがに「維新八策」なる公約の欠陥は選挙に不利に働くと分かったとみえる。今度は矛先を取って付けたような政策批判に転じた。おそらくブレーンの堺屋太一らの入れ知恵だろう。「尖閣に警察常駐の機会を逸した」と、先の中国人上陸への対処を批判したり、「なぜ柳条湖事件の時期に国有化したのか」と尖閣国有化批判を展開し始めた。「議席半減」は荒唐無稽(むけい)ではあるが、何も知らない衆愚に対してはインパクトがある。しかし政策批判は常識的であり、共産党の批判と同じで、誰も聞いていないし、聞いても感心しない。いずれにしても、再び「風」による選挙で我が国の政治は大きく揺らごうとしている。小沢チルドレンに代わって、維新ベビーズが大量に進出しかねない。この国難のときに、2度にわたる衆愚による国政へのパンチは、相当の効き目となって現れるだろう。政治の混乱と不信を頂点に至らしめるだろう。浮動層よいいかげんに目を覚ませと言いたい。
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