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2012-09-12 00:00
民・自党首選の潮流は3党合意継承にある
杉浦 正章
政治評論家
民主・自民両党の党首選挙でこんがらがった政治の糸から共通項を紡ぎ出せば、「民・自・公協力路線継承」という姿がかなり鮮明に出てきている。総選挙後には、少なくとも政策ごとのパーシャル連合には発展する可能性が大きい。これが政界再編に直結するかどうかは、選挙結果による。とりわけ民主党がどのような形で激減するかによる。左翼崩れや共産党より左の極左勢力が力を残存させるようでは、再編までは行くまい。一方で、橋下徹が党首の日本維新の会が9月12日旗揚げするが、離党議員らの面接会は、派手な前宣伝にもかかわらず、極めて低調に終わった。12日に立候補表明する安倍晋三の維新への接近路線にはマイナス要素となりそうだ。
まず民主党代表選挙の流れは、中央でも地方でも首相・野田佳彦の独走の形だ。特に地方では、共同通信の県連幹部へのアンケート調査によると、25都府県が野田と回答。鹿野道彦が2県、原口一博が1県だったことが、すべてを物語る。野田は、「国民会議」を軸に民主、自民、公明の3党が1年かけて社会保障の在り方を詰める3党合意路線について、「大変大きなテーマで時間をかけて互いに責任を持ってまとめた。改めて3党合意の確認と、検討課題をこなしていくための党首会談等はありうる」と発言している。これは、自民党総裁が誰になろうと、民・自・公路線は継続する方向を明らかにしたものだ。党首選の終了後9月下旬にも、民・自・公党首会談が開かれる公算が大きい。代表選候補の記者会見でも、4人の候補のうち「3党合意は破棄された」と反対を表明したのは、原口一博だけだった。維新に近く小沢別働隊とあっては無理もないが、新聞からこてんぱんに叩かれては泡沫候補化必至だ。
自民党は、幹事長・石原伸晃と前政調会長・石破茂が民・自・公路線推進を打ち出した。自民党内で総裁・谷垣禎一への裏切りの汚名が先行している石原は、何とか谷垣支持票を自らに回そうと路線継承を前面に出した。「谷垣総裁は、大局的な立場で次の世代にバトンを託したいと英断された。この重みや責任をしっかりとかみしめて、3年間、谷垣氏が進めてきた政策や路線を形にしていくことが私の使命だ」と述べた。勝手にバトンタッチされたと解釈したが、自らも携わってきた党路線だけに、あだやおろそかに出来ないことは事実である。長老支配への反発を強めている石破も、総裁選への公約で「3党合意に基づき、税と社会保障の一体改革を進める」方針を打ち出した。自民党を軸に再編を進める方針も同時に述べている。こうして自民党は有力2候補が3党合意路線追求の方向を鮮明にさせた。背景にはたとえ政権を取ってもねじれ国会の現実には変化がなく、「決められない政治」を打破するには3党合意を維持発展させるしかないという認識がある。維新の会を取り込んでも、参院の逆転に変化はないからだ。候補では町村信孝も3党合意重視派だ。
その維新の会による9日の公開討論会は、議論の場にはならず、橋下路線と維新八策礼賛の場となって、中央紙と民放からひんしゅくを買う結果となった。例えば松野頼久は、環太平洋経済連携協定(TPP)反対の先頭を切っていたが、TPP参加を明言している橋下を前にして、何も言わぬままだった。討論会が政策よりも橋下に服従するかどうかの踏み絵の場そのものであったことを物語る。石破は、こうした動きに批判的だ。「維新と組めば選挙が強くなるから、ボクも当選する、ではどうしようもない。そんなのやめてもらいたい」と述べる。維新八策の「消費税の地方税化」についても、「自治体によって消費税が異なれば、企業のビジネスが成り立たない。人口も消費税が低い県に移動する。自治体の財政は成り立たない」と不可能視している。一方安倍は、維新との連携が売り物だが、政界では日本維新の会に移籍する7人が軽蔑の目で見られているのと同様に、安倍も同類と見られがちとなっている。維新の会への大接近が「売り」にならない状況となっているのだ。にもかかわらず「売り」になると踏む安倍の政治判断にも限界がみえることになる。こうして党首選挙と総選挙を経た政治の動向は自、公で過半数に達しないことを前提にした民・自・公路線へと傾斜してゆく流れとなってきた。維新の会との連携の可能性はなお消えていないが、衆院は3党で十分足りるから、下手に政権に引き入れて、やがては消えてゆく素人集団に引っかき回される事のリスクを考えれば、躊躇せざるを得まい。
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