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2012-09-07 00:00
「細野光秀」“3日天下”の構図
杉浦 正章
政治評論家
民主党断末魔の悪あがきが原発相・細野豪志擁立の動きだ。本人もその気になってきているが、閣僚の裏切りだから、まさに本能寺の変で信長を裏切った明智光秀と同じだ。光秀は実際には11日間生き延びたが、京都で政務を執ったのが3日間だ。細野擁立グループは頭に血が上って、「細野光秀」の“3日天下”になりかねないことに気がつかない。だいたい細野で首相指名をクリヤできるのか。たとえできても「近いうち解散」の構図を変えるのは難しい。総選挙となれば民主党大敗の構図は変わらず、せいぜい政権が持つのは3か月だ。「細野政権」は長くて「3か月天下」が限度だ。民主党は、ひたすら選挙目当てで3年間で4人目の首相を選ぶという愚行を繰り返してはなるまい。橋下徹が43歳だからだろうか、自民も民主も党首選挙で若返りの動きが急だ。政策より、経験より、「選挙の顔」優先というポピュリズムに走っているのだ。とりわけひどいのは民主党の細野擁立の動きだ。溺れる者は藁(わら)をも掴むで、落選必至の若手議員らが、41歳の細野を担ごうと血迷っている。ムードというのは恐ろしいもので、いったん火が付くと止まらない。首相・野田佳彦の再選が危うくなってきたのだ。
しかし、民主党議員らは木を見て森を見ずであることが分かっていない。目先の選挙のことしか頭にないから、細野が本当に首相に適任かどうかではなく、180センチで背が高く、見栄えがいい、くらいにしかとらえていない。米国ではケネディが43歳で大統領に就任したが、まれに見る天才政治家であり、当然だった。日本では少なくとも外相や財務相、党役員くらいの経験があって、やっと政権運営が出来るのだ。それを飛び越えて選挙の顔になりさえすれば、事実上何処の馬の骨とも知れぬ者でもいい、という発想だけに凝り固まって、次の首相を選ぼうとしているのだ。“民主党ポピュリズム”もここまで来たかという状況だ。有権者を馬鹿にするにもほどがあるということだ。細野は将来を嘱望されるのに使い捨てにされるのだ。
ところで、代表選挙で野田を引きずり下ろして、細野が日本を率いる首相に就任できるかどうかだ。政権政党の党首選挙で党首が代われば、当然野田内閣は臨時国会を招集して首相指名選挙を行わなければならない。しかし、野党は通常国会で問責決議を可決して民主党政権否定の意思表示をしている。臨時国会は冒頭から大混乱必至だ。というのも、招集するのは野田であり、野党が招集直後に野田内閣不信任案を上程すれば、あらゆる議題に先立って採決が必要となる。首相指名選挙は後回しにされる。不信任案は可決されるケースと否決されるケースがある。民主党内の動きによっては必ずしも否決されると断定は出来ない。可決されれば、野田は解散か内閣総辞職を選択せざるを得ない。野田は常識的には総辞職を選んで細野にバトンタッチしようとするだろうが、野党との「近いうち解散」の約束通りに解散を選択しないとは言えない。解散すれば「細野首相」はあぶくと消える。「3日天下」どころか「0日天下」だ。これがまず第一の関門だ。自民党総裁・谷垣禎一が9月6日「ひょっとしたら、あす(7日)衆院解散があるかもしれない」とジョークを飛ばしたが、おそらく野田が解散権をいつでも行使できるという含みがあるのだろう。おとなしく野田が総辞職を選んで、細野にバトンタッチしても、野党はほぼ確定的に細野に対する不信任案か問責決議案を上程する。不信任案を否決しても、問責決議は可決される公算が強く、国会は冒頭から空転する。細野を解散に追い込むまで、食うか食われるかのバトルが展開して、結局は解散に追い込まれるのだ。
一方で、冒頭の野田内閣不信任案が否決された場合には、「細野首相」が首相指名で成立し得るが、やはり野党は不信任案か問責決議案で勝負に出るだろう。国会はストップして、細野は赤字国債発行法案の成立と引き替えに、衆院を解散せざるを得なくなる可能性が高い。こうした不信任や問責の動きは、たとえ野田への不信任案が出されずに、細野が無難に首相指名選挙を乗り越えても、同じように生ずるだろう。逆手を取って、細野が所信表明直後に解散に踏み切るという手段もある。答弁でぼろを出さないうちに解散を断行しようと言うわけだ。しかし、選挙大敗の構図は変わらないだろう。目先を変えたくらいで、有権者にしみついた反民主党感情が変化するとみるのは甘いのだ。その敗北の構図とは、3年間の民主党政権の体たらく、消費増税への有権者の報復、3年前の浮動票の維新の会への移行である。したがって、「細野首相」は実現しても3か月の命となるのだ。この構図が分からないのが、民主党に残ったチルドレンのチルドレンたるゆえんであろう。まさに「細野首相」は民主党政権最後の悪あがきとして、長期にわたり民主党にたたり続け、同党再起の道は断たれるだろう。ここは奇道を選ばず、憲政の常道にしたがって野田現政権を選んで、約束通り解散・総選挙を断行、潔く政権を野党に譲るべきであろう。
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