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2012-09-04 00:00
尖閣諸島購入問題の核心(再論)
湯下 博之
元駐フィリピン大使
私は7月10付け本欄で「見落としてはならない尖閣諸島購入問題の核心」と題する一文を投稿し、「問題の核心は誰が所有権を持つかではなくて、何らかの形での人の常駐等、目に見える形で実効支配の実態を示すことである」と論じた者であるが、このほど、尖閣諸島の魚釣島を含む3島について、政府が9月中旬に地権者から直接購入するための最終調整に入ったと報ぜられ、併せて、購入後の同島での漁船の待避施設の整備については、「悪天候時に外国船が施設を利用しようとすれば拒めないため、逆に外国人の上陸が増えかねないという理由で認めない方針」であると報ぜられた。もし、この報道内容が正しいのであれば、放置できない問題がある。
所有権の移転そのものは、日本の国内法上のもので、日本の法律に従って移転され、登記が行われるのであれば、仮りに外国人が所有権を取得する場合であっても、島に対する日本の領有権に影響を及ぼすものではない。外国人が日本法に従って登記をすることは、むしろ日本の領土であることを実証するとさえ言えよう。
問題は、外国人が「無断で」島に進入したり、島を占拠したりすることを許してしまうことである。そうさせないためには、島にしっかりした灯台を建てて管理する等、何らかの形で常駐の実態を作ることである。
これに関連して、「悪天候時に外国船が施設を利用すれば拒めないため、逆に外国人の上陸が増えかねないという理由で」漁船の待避施設の整備を認めないという考え方はおかしい。むしろ逆で、常駐体制を敷いて、悪天候時には本土の港における場合と同様のやり方で外国船の避難を受け入れれば、外国船の避難例が増えれば増えるほど、日本による実効支配の実績が積み重なるであろう。因みに、「施設整備を進めることで、中国や台湾を刺激するのを避けたいという事情もある」と報ぜられているが、もしそうであれば、国の所有にしない方がよいことになろう。
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