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2012-08-28 00:00
(連載)日韓対立、我が国は「法律戦」に徹すべし(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
竹島問題をめぐっては、直接領有権を争うだけでなく、海洋の境界画定に関する紛争処理の観点から、国連海洋法条約に基づく対応も考えるべきである。国際海洋法条約には、境界画定に関する紛争のいずれかの当事国の要請により管轄権を有する裁判所に付託される、という「拘束力を有する決定を伴う義務的手続」の規定(第15部の2節)がある。竹島問題で言えば、韓国側が日本漁船を竹島周辺から排除しているのは、日韓漁業協定違反であり、提訴の理由となり得る。この枠組みを使えば、韓国の同意なしでも調停が行なわれる可能性が開かれるとともに、間接的ではあるが、韓国の竹島領有権に否を唱える行為であるから、やはり「ペーパー・プロテスト」からの脱却となる。
一方、歴史問題であるが、これは政治的文脈から明確に切り離し、感情論を断ち切り、国際的に確立されている常識的な国際法の解釈だけを羅針盤とするべきである。具体的には、ごく単純なことで、日韓間の戦後処理は日韓基本条約で全て決着済みという大原則から逸脱しないことである。
この点を徹底してこなかったことが日韓間の不幸を増幅している。菅政権下で決められた朝鮮王朝儀軌の「返却」は、日本に存在する韓国の歴史的文化財の所有権問題についても決着済みとする日韓基本条約の付属協定「文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」に反するものであった。また、従軍慰安婦問題でも、民主党の前原政調会長が新たな「人道的措置」の検討を表明するということがあった。こういう対応が、日韓間の戦後処理を終結させるという日韓基本条約の意義を没却させ、韓国側の要求をエスカレートさせる原因となっている。「蒸し返しを許さない」という国際法の大原則に立ち戻るべきである。
竹島問題も歴史問題も、「法律戦」に徹しながら、我が国の立場をできるだけ有利にすべきである。こうした対応は、短期的には韓国側の反発を招くであろうが、これらの問題を政治の文脈からできるだけ遠ざけることこそが、長い目で見れば日韓関係の改善に繋がると思われる。そして、アジア太平洋地域の安全保障環境を考えれば、日韓の衝突には全く戦略的合理性がない。(おわり)
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