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2012-08-25 00:00
(連載)韓国は中国による日本侵略の手先となる(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
最近、日本を巡る領土問題が急速に悪化している。しかも注目すべき点は、中国・ロシア・韓国といった関係国が、まさに申し合わせたように、足並みを揃えて対日攻勢をかけてきていることである。もう一つ重要なことは、それは領土問題だけではなく、日本を意識的に貶める歴史問題とリンクしていることである。中国・韓国との歴史問題は今に始まったことではなく、30年前、1982年の第一次教科書事件から始まっているが、ロシアの場合も、日本に対して数年前からしきりに歴史問題を言い出していたことは、殆ど注意されていなかった。それはまさに、領土問題で攻勢をかけるための準備であったのだ。このあたりが現在の日本人の、驚くほど鈍感な点である。
ロシアといえばその前身のソ連こそ、日本に対して極めて巨大な戦争犯罪を犯した国である。不可侵条約を踏み破り、大量の強姦と言いう戦時性暴力を振るい、日本軍人をシベリアに抑留して、何万もの人間を死に追いやったからである。ただし中・ロ・韓の北東アジアにおける連携のうち、最も重要なのは中国と韓国の連携である。ロシアは現在、急速に極東開発に力を入れようとしているが、長期的に見た場合、ロシアは基本的にヨーロッパの国であり、アジアにおいて強固な存在とはなりえないからである。朝鮮戦争でお互いに殺しあった、中国と韓国との連携・結託といえば、80年代の第一次・第二次教科書事件がある。このときはまだ、中国と韓国とは国交が無かったが、日本に対する歴史問題について共同歩調をとった。今から20年前、1992年に中国と韓国の国交が成立したが、95年に日本の江藤発言を切っ掛けに、江沢民と金泳三は歴史問題で共同して日本を叩くことを宣言する。この重要な事実も、忘れっぽい日本人は、すっかり忘れてしまっているだろう。
韓国の動向を見ていると、近年における中国の急速な膨張に対する危惧の念は、殆ど感じられない。日本に対する警戒心とまるで逆である。これは日本人よりアメリカの衰退を敏感に感じ取り、中国と結ぼうと考えているからであろう。そしてそれはまた、近代以前の歴史において、朝鮮が一貫して中華帝国の藩属国家であった事実が、強力に反映されているのであろう。もう一つ、韓国が中国に対して従属しなければならない要素がある。それこそ韓国と同一民族の国家である北朝鮮の存在である。北朝鮮は完全に中国の衛星国であり、北朝問題を何らかの形においてでも解決するためには、絶対に中国の意向に逆らうことはできない。それでは、今後の北東アジアの歴史はどのように展開するのであろうか。基本的動向は、アメリカの衰退と中国の台頭となるだろう。その過程で、中国・中国人は、日本に対する侵略・併合を実行するだろう。そもそも中国はその成立時から、周辺民族の土地を侵略・併合して出来上がった、本質的な侵略国家である。したがって更なる侵略に乗り出すのは、全く当たり前のことである。それを警戒しないとしたら、警戒しないほうが底なしの馬鹿なのだ。現に尖閣を核心的利益だと言い出して、日本領土への侵略を開始しているが、それはさらに沖縄、そして日本本土に拡大するだろう。
ただし中国は日本国土への侵略に乗り出す遥かに以前から、日本人の精神を歴史問題によって侵略し続けてきた。それは戦時中の日本人捕虜への教育から始まり、実に長い歴史がある。その中に40年前、日中国交成立時の日中国同声明があり、先述した80年代の第一次・第二次教科書事件や靖国参拝問題がある。その結果、日本人は歴史問題によってすっかり洗脳され精神の奴隷になった。日本人が戦後すぐにアメリカの東京裁判史観によって完全に洗脳されたというのは、はっきり言って正しくない。日本罪悪史観の淵源は、東京裁判にあるにしても、それが一般に日本人に広く普及・定着するのは、80年代の教科書事件以後である。この時点で東京裁判史観は、強固に再構築されたのである。(つづく)
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