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2012-06-25 00:00
(連載)シリア問題の外交的解決は可能か(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
6月18日、国連シリア監視団(UNSMIS)が活動を一時停止することを発表しました。5月の末以来、シリアでは各地で数十人、場合によっては100人以上の虐殺が相次いでおり、さらに首都ダマスカスでも戦闘が本格化しています。体制派と反体制派の衝突はUNSMIS到着後も止まず、さらにUNSMISにそれをやめさせることができない以上、遅かれ早かれ、機能不全に陥ることが予想されていたわけですが、それが現実のものとなりました。これでシリア情勢は、より深刻なステージに入ることになります。
シリアの旧宗主国であるフランスは既に、武力行使をともなう制裁を国連安全保障理事会に提案する旨を明らかにしています。海外に居住し、アサド体制と敵対してきたシリア人たちの連合体「シリア国民評議会」もまた、欧米諸国に対して、軍事介入を求め続けています。そこには、アナン元国連事務総長の調停が実質的に反故にされつつある状況で、アサド政権といくら交渉しても無駄だという主張とともに、昨年のリビアでそうであったように、できれば外部の力を借りて現体制を根こそぎ破壊することで、国民評議会の主導による新たな国造りを目指したいという考えがあるとみられます。
しかし、フランスや国民評議会の主張は、形勢が不利なようです。なかでもロシアは、従来通り、アサド政権を支持する立場を崩していません。冷戦期以来の友好関係や、シリア情勢がロシア国内のイスラーム過激派や民主化勢力を刺戟することへの危惧に加えて、もともとロシアは、欧米諸国が実際には自らの利益に関わらない限り関与を控えるのに、いざ政治的・軍事的に介入するとなると「人道」や「人権」といった普遍的大義をかざすことに、強い拒否反応があります。
1999年の旧ユーゴスラビア・コソボ内戦に、NATOはセルビア人による虐殺からアルバニア人を救うという「人道的介入」を掲げて介入しました。しかし、その際、アルバニア人によるセルビア人への攻撃が問題になることは、ほとんどありませんでした。欧米諸国がセルビア人を一方的に「悪者」として扱い、さらに住民投票に基づいてコソボ自治州をセルビア共和国から独立させて親欧米政権の樹立をプロモートしたことは、伝統的にセルビアと友好関係にあるロシアからみれば、庭先を上手くかすめ取られたように映ったことでしょう。(つづく)
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