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2012-06-19 00:00
(連載)中国製の北朝鮮ミサイル運搬車問題が予言する日本の未来(2)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
そして4月23日に北京であった、胡錦濤主席と朝鮮労働党国際部長・金永日との会談で、中国側は「北朝鮮の一連の行動が日米韓の防衛体制の強化を招いている点を指摘」して、核実験に対して強く警告した。そのために北朝鮮は、核実験を強行しなかった。それを評価して、アメリカは中国の明確な安保理決議違反に目をつぶった。「制裁をやり尽くし、北朝鮮に対する有力な外交手段がない日本には、中国との妥協を決めた米国に従う以外に選択肢はなかった」。要するに、北朝鮮が核実験をしなかったのは、中国のおかげであるというのである。
ただしこれは余りにも当たり前なことではないのか。そんなに有り難がることなのか。だいいち中国が、自身にとって脅威になるに違いない、北朝鮮の主体的な核兵器の所有など、絶対に許すはずがないのである。そして中国には、それができる。なぜなら北朝鮮は朝鮮戦争の際に、まさに消滅の瀬戸際で中国に救われたのであり、中国には全く頭が上がらない、完全な属国であるからである。そもそも北朝鮮の核問題は、始めから日米韓に対する脅迫の道具として、中国が利用してきたものに違いない。
今度のミサイル運搬車問題によって、ますますアメリカと中国の結託・癒着関係が明らかとなった。それは今後の東北アジアの状況が、どのように展開し行くかを予言している。そこではアメリカの存在は急速に後退し、中国主導の政治秩序・経済秩序が作られてゆくであろう。
中国の東北地方・ロシア極東地方・韓国と一体化して、北朝鮮を取り込んだ経済圏が形成され、核兵器を放棄した北朝鮮は、政治体制をそのままにして、経済をある程度自由にする中国化が進行する。これまで何度も指摘してきたことだが、その時には日本もそれに巻き込まれて、膨大な経済援助を提供させられ、他方では日本の領土における、中国人のみならず朝鮮人による人口侵略が、急速に進展するであろう。(おわり)
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