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2012-06-18 00:00
(連載)中国製の北朝鮮ミサイル運搬車問題が予言する日本の未来(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
6月13日、朝日新聞の一面トップに、「中国、北朝鮮に軍用車両」「安保理決議に違反、昨年8月日米韓が把握、公表せず」という記事が現れた。今年4月15日、北朝鮮の軍事パレードに登場した、巨大なミサイル運搬車が、中国製のものであることは、すでに当時から確実視されていたが、それが全くの事実であることが確定したのである。それにもまして重要なことは、昨年の段階で日本が明確な証拠を掴んでおり、しかもそれが完全な安保理決議違反であるにもかかわらず、米韓も含めて、中国に配慮して事実を公表しなかったことである。
その経過は、昨年8月にカンボジア船籍の貨物船が、中国から北朝鮮に行ったことは、情報衛星で掴んでいた。その船が10月に大阪港に入港した際に、輸出の記録を見つけて、大型特殊車両4両があることが判明した。そして4月の軍事パレードに現れた車両が、それと同一のものだと確認したという。簡単に述べるとこうなるが、「複数の日本政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした」と称する牧野愛博記者による記事は、このあたりの説明が驚くほど詳しい。この事実を翌14日に、同じく一面トップで報じた産経新聞では、「産経新聞が入手した6カ国協議参加当局作成の報告書で分かった」とし、経過の説明は遥かに簡略である。
この牧野記者による記事は、2面にも続いていて、あわせて長大な記事になっているが、朝日の報道の特徴は2面のほうによく表れている。タイトルは、「日米韓背信の黙認」「疑惑の船、日本が物証」「北朝鮮の暴発恐れる緊張緩和優先、米に追従」とある。実物を見てもらうと分かるが、一番の大見出しは、公表しなかった日米韓に対する批判である。なお14日の社説では、「ミサイル車両、中国の輸出は許されぬ」とあるように、朝日には珍しく中国批判を展開しているが、締めくくりでは日米を批判して終わっている。
では日米韓は、どうして明確な中国の安保理決議違反を黙認したのか。13日2面の牧野記者の解説は実に冗長で、ごたごたしているのだが、その要点を簡略に整理すれば、次のようなものである。政府関係者の言によれば、4月の軍事パレード後、「米政府は日本が通報した事実を中国に非公式に提起したという。中国側は輸出の事実だけは認めたが、『民生用だった』と釈明したという」しかし日米韓は国連安保理で、中国を追及することを断念する。それは、「『中国を追い詰める時ではなかった』。政府関係者の一人はこう語る。当時、日米韓の最大目標は、北朝鮮の3度目の核実験を防ぎ、朝鮮半島の緊張を緩和することだった」からなのだという。(つづく)
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