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2012-06-16 00:00
オバマ・ロムニー両氏の経済政策の争点
島 M. ゆうこ
エッセイスト
最近、オバマ大統領とミット・ロムニー氏はそれぞれの選挙演説でお互いに攻撃論争を展開している。6月14日、オバマ氏は、オハイオ州のクリーブランドで50分以上の長いスピーチを、ロムニー氏は同州のシンシナティで20分程度の簡単な選挙演説を行った。ロムニー氏は全国民の減税、オバマ氏の健康保険改正案の撤廃、規制緩和、連邦政府の経費削減、及び天然ガスの輸送システムであるキーストーン・パイプラインを支持することなどを語った。13日の『ワシントン・ポスト』紙によると、ロムニー氏は「この選挙は、市民、企業、及び政府の関係を決定する転機になる」と述べている。「減税の維持は、新たな事業の投資を促進するため、経済成長と政府への歳入につながり、規制緩和は、事業の経費を削減し、米国のビジネスの競合性を高める」というのがムニロー氏の持論である。ロムニー氏は、オバマ氏の刺激対策で、7,870億ドルを支出し、借金したが、失業率は8%以下を維持できず、40ヶ月間8%以上であることを指摘した。更に、「過去3年半の記録を見ると、オバマ氏は、米国歴史上、最も反投資、反ビジネス、反雇用政策の大統領である」と述べた。
一方、オバマ大統領は、クリーブランドでの演説で「11月の大統領選で、有権者は最も重要な米国の経済に関わる全く異なる二つの選択肢のいずれかを迫られることになる」と述べた。その選択肢とは、経済成長、雇用創出、負債軽減を重視するオバマ大統領の経済政策と、5兆ドルの減税で、赤字を爆発状態にし、経済成長に必要な投資を損なうことになるロムニー氏の経済政策のいずれかであるという。大統領は、今後数年間で負債、税金、資源、教育すべてに関する有権者の決定が子供達にも多大なインパクトを与えることを力説した。更に、ロムニー氏の経済政策との対比を明確にした上で、いずれの候補者を選ぶかという単純な問題ではなく、この国がどちらの道を歩むかの選択であることも力説し、国民にその選択を促した。
更に、富豪層への減税、規制緩和は、雇用拡大につながり、それが下層部も潤すと言われてきたが、現実は「過去2~30年間でトップ1%の富豪層のみが275%も収入が増える一方で、中産階級の収入は減収している」ことを指摘した。オバマ氏は、ロムニー氏の税制案は、富豪層の減税を行う一方で、歳入増加の努力は一切なされず、政府の出費は増大し、莫大な赤字を抱え、景気後退の結果に至ったブッシュ政権の路線延長であることを強調した。ロムニー氏が支持する5兆ドルの減税がどのように赤字の減少に繋がるかを問い、無理のない健康保険、教育費、住宅補助金を全て撤廃しても、米国の負債は減少しないばかりか、「結局、中産階級が高い税金を支払うことになる」と説明した。また、健康保険法の撤廃は、3,300万人が健康保険を失う結果になるばかりか、米国大手の病院カイザー・ファミリー・ファンデーションによると、数百万の介護患者や自閉症と身体障害の子供を抱える家族も含めて、更に1,900万人の健康保険も奪うことになると述べた。更にブッシュ政権時代に金融機関に対する規制が緩慢であったため、リスクの伴う住宅ローン契約が横行し、数百万の抵当倒れを含む財務危機により2008年から「異常な不況」に突入した様子を述懐した。
オバマ氏は、この演説で、ロムニー氏の「最も反投資、反ビジネス、反雇用政策の大統領」との批判を意識してか、27ヶ月間で50万の雇用を生み出したこと、過去3年間、労働者の税金を3,600ドル減税したこと、小規模事業の減税を18回実施したこと、過去3年間で署名した規制法案は前代の共和党の大統領より少ないこと、税金の無駄使いになる500以上の規制を改正したことなども語った。最後に、オバマ氏は、赤字を減少させることは、ほぼ誰もが同意している課題であり、そのためには、富豪層にもう少し税金を払ってもらうことが、経済政策の要点であることを再度強調した。ビル・クリントンが、富豪層に課税し、レーガン政権下の莫大な赤字を黒字に転じ、23万人の雇用を生み出し、歴史上稀な経済回復を成し遂げたことを語った。また、トップ1%の富豪層は法外な利益を得ている一方で、どれほど懸命に働いても、ぎりぎりの生活を強いられている多くの国民との経済格差が経済回復の足かせになっていることを述べながら、「ロムニー氏と彼の仲間は、アメリカの富豪層から1銭の税金さえ取らない」として、オバマ氏の経済政策に同意するよう求めた。
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