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2012-05-14 00:00
プーチン大統領がG8サミット欠席を決めた本当の理由は?
飯島 一孝
ジャーナリスト
米ホワイトハウスが5月9日、ワシントン郊外で18、19日に開催するG8サミットにプーチン露大統領が欠席すると発表、様々な憶測が飛んでいる。ロシア側は新政権の組閣を理由に上げているが、事情を探ると、もっと深い理由があることが分かってきた。ロシア各紙の記事を総合すると、プーチン大統領のG8欠席を決めた時期が「ここ数日中」という説と「大統領就任式の前から」という説との2種類ある。「数日中」という説によると、大統領が組閣にあたって自ら大臣候補のクビ実検を行なうので、18、19日のサミットには行けないというものだ。これは公式発表の通りである。
ところが、就任式が行われる7日以前から決まっていたという説は、プーチン大統領の就任後の初外遊をどこにするかという発想からだという。米国へはここ数年、メドベージェフ首相が大統領の任期中に何度も訪問しているが、オバマ大統領は1度しかモスクワに来ていない。そのため、プーチン大統領の初外遊地としてはふさわしくないというものだ。「大国の尊厳」を重視するプーチン氏らしい発想といえる。
一方、アメリカ・サイドからの情報によると、欠席理由には3つの説がある。1つ目は、メドベージェフ首相の方がオバマ大統領だけでなく、西側の首脳と個人的に良い関係を持っているので、首相を派遣するという説だ。2つ目は、プーチン大統領は西側のメディアに強権的とのイメージがあるので、批判を避けるため、というもの。3つ目は、プーチン政権の新たな「リセット」ではないかとの推測である。米国としては、これが一番気がかりなところだ。というのも、ミサイル防衛など、米露で協議しなければならない様々な問題を抱えているからだ。別の情報源によると、先週、モスクワを訪問した米国の外交官がプーチン氏と会談、今後の日程を打ち合わせた際、オバマ大統領は自らの大統領選の都合で、9月にウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議に出席できない旨を伝えたという。このことがG8欠席に関係している可能性は十分ある。
以上の情報から分かることは、プーチン大統領がいかに初外遊にこだわっているかだ。大国外交を目指すプーチン氏からすれば、国際舞台への再デビューを華々しく飾りたいという強い願望がある。とくに、APEC首脳会議は自ら招致した会議で、プーチン大統領が政治生命をかけて進めているともいえる重要な会議である。当然オバマ大統領も出席すると期待していたプーチン氏が、がっかりして「しっぺ返し」をしたのかも知れない。いずれにしろ、プーチン2・0政権は、これまで以上に一筋縄ではいかない政権になることは間違いない。
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