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2012-04-19 00:00
野田は問責閣僚を切って、消費増税にまい進せよ
杉浦 正章
政治評論家
首相・野田佳彦にとって2閣僚に対する問責決議案の4月20日可決が意味するものは、消費増税という国家百年の計と伴食大臣の首とどちらが重いかと言うことに尽きる。いくら幹事長・輿石東が反対しても、閣僚の首も切れないようでは、「小沢切り」による増税実現などとてもおぼつかない。審議拒否をめぐって野党が割れるのを待っていては、5月連休の後にまで問題を持ち越すだけだ。そうなれば、野田が命をかける消費増税法案まで成立がおぼつかなくなる。ここは2閣僚が自発的に辞任すべきだが、しなければ更迭するしかない。問責決議案を読めば、上程は無理もない。岐阜県下呂市の市長選挙で特定の候補者の支援を求める文書に署名していた国交相・前田武志については、「みずから辞任すべきだが、その地位に恋々としている。さらに責任を秘書官に負わせようとする姿は、反省の意識も薄い」とある。一方、北朝鮮のミサイル発射でも醜態を見せた防衛相・田中直紀については、「安全保障政策に関して基礎的な知識がないことは周知の事実で、わが国を取り巻く安全保障環境が緊張を増す現在、防衛大臣が素人であることは到底許されない」と指摘している。いずれももっともな理由であり、もう「1日1日全力を尽くす」(田中)ことなどしてくれる必要は無い。
確かに自民党がこの国難の時に問責決議を乱発して、政局化による早期解散を狙っていることは、党利党略であり、もういいかげんにせよと言いたくなる。同党が問責可決後に全面審議拒否に入れば、世論も黙ってはいまい。野党の足並みも乱れるだろう。しかし、それを待っていたら、すぐに5月半ばになってしまう。消費増税法案成立のための時間は切迫しているのだ。来週中に決着をつけなければ、問題は連休後に持ち越す。連休中は野田の訪米で審議不能だ。5月7日から会期末までは45日しかない。超重要法案の審議日程としてはぎりぎりの日数だ。連休前に審議入りしてやっと通るかどうかの日程だが、連休後までもたもたしていては、会期内成立はおぼつかなくなる。ここでも小沢一郎絡みの大きなネックが存在する。消費増税法案に反対し、少なくとも継続審議を狙っている小沢戦略と密接に絡んでくるのだ。
小沢にとって、体制内闘争を続けるには、表だって消費増税法案に反対投票して、党分裂の事態を招くことは避けたいところだ。継続審議くらいが落としどころとして1番よいと考えている。その戦略に乗って、側近の幹事長・輿石東がうごめき始めているのだ。2閣僚辞任について、輿石が「そんなこと毛頭考えていない」と“抵抗”しているのは、自ら2人を参院の閣僚候補として推薦したことだけが理由ではない。小沢戦略を実現するには、早期更迭になっては困るのだ。遅れれば遅れるほど法案の継続審議化が実現性を帯びてくるのだ。こうした輿石の思惑は、4月26日の小沢判決が無罪となれば一挙に浮上するだろう。輿石は党員資格停止処分を撤回し、小沢を9月には代表に担ぐかも知れない。それを先取りするかのように、小沢は18日、テレビで代表選出馬を聞かれて「それが天命だとすれば、私はどんな役割でもするつもりだ。最後のご奉公をしたい」とあからさまに意欲を表明している。輿石は「無罪即小沢復権」の構図を描いているのだ。
野田にしてみれば、1番の頼りとすべき輿石が、一段と小沢寄りの姿勢を示し始めては、ゆゆしき問題である。もともと輿石は小沢側近であり、「必ず刺すサソリを背中に乗せたカエルは刺される」のだ。これを巻き返す戦略として、野田が取り得るのは、とりあえずは2閣僚の早期更迭と、審議状況を見て会期を大幅延長することしかない。問責決議には法的拘束力がないにしても、過去の例は可決された全員が早晩辞任している。問責の理由もそれほどの無理はなく、かばえばかばうほど政権の方針にとって逆作用となるのだ。「まずかばいきれない」というのが永田町の常識的な見方である。決議の理由を見ても、世論は「もっとも」とうなずくのであり、野田はここで突っ張るべきではない。日程的にも来週中の決着を目指すのが妥当であろう。こういうケースで自民党政権がとってきた対応は、裏で手を回して“自発的”な辞任に持ち込むことだが、民主党政権でも踏襲する価値がある。2閣僚とも自らの立場が消費増税の可否に絡んでいることを悟るべきであろう。それが実現できなかった場合には、狙いが分かっている輿石などには気を遣わずに、早期更迭・内閣改造に踏み切り、連休前決着を目指すべきだ。
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