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2012-04-16 00:00
野田は原発再稼働で、安保の岸を見習え
杉浦 正章
政治評論家
「橋下潰すにゃ刃物はいらぬ。停電3日もすればいい」と民主党幹部が漏らしている。たしかに原発再稼働で電力の享受をフルに受ける立場にありながら、大阪市長・橋下徹がテレポリティクスの真骨頂を発揮している。テレビの批判的風潮に呼応して、「絶対に許してはいけない。次の選挙で民主党政権は代わってもらう」などと吠えまくっているのだ。橋下は市長なら、また関西電力の大株主なら、この夏の20%の電力不足を解消する具体案をいますぐに提示すべきではないのか。無責任に茶の間うけする発言を繰り返し、選挙のためならなりふり構わぬこの政治家の原点を見た思いがする。ここは首相・野田佳彦が反対闘争に囲まれた「60年安保」の首相・岸信介のように、先見の明を持ってまい進するしかない。マスコミでも、新聞は読売、日経、産経が原発再稼働推進論だから、まだ将来を洞察する能力が半分は残っている。問題は、NHKをはじめとするテレビの報道ぶりだ。総じて感情的になって、国民の恐怖感をあおる報道を続けている。その先頭を走っているのが、みのもんたを司会者とするTBSの朝ズバ報道だ。影響力が大きいだけに、Web論壇としては徹底的に反論しておく必要がある。「サタデーずばッと」なる番組で4月14日、もんたは「メルトダウンしたら取り出す技術も無い。そっちの方をコントロールできないなら、原発は止めておいた方がいい」と発言した。全く無知があさってを向いているとしか言いようがない発言だ。メルトダウンを取り出す技術などは米国のスリーマイル島事故でとっくに可能となっている。福島原発に適した方法を研究すればよいだけだ。もんたはメルトダウンに到らせないことが安全基準の中心であることを知らない。
同じ番組で、評論家の岩見隆夫は「決断が早すぎる。専門家による安全判断でなく、政治判断だ」と述べたが、これも事態を全くフォローしていない。野田は、突然思いつきで決断したわけではない。1年がかりで安全基準の策定などの対策は、専門家によって積み上げられている。政治家の判断の背景には現段階で出来うる限りの科学知識を動員した、紛れもない専門家の下準備があるのだ。これを全く無視して、「拙速」をいうのは、無知をさらけ出している。要するに、みのもんたの番組は「知らぬ同士のチャンチキおけさ」と思っていれば、腹も立たない。電力が無ければ、くだらない民放番組も止まることが分かっていない。一方で、NHKは「政府はもし明日大地震が起きて、大津波が来たら、どうするか、科学的根拠を示せ」と記者に解説させているが、これこそ噴飯物だ。地震予測のための科学的根拠など、現段階ではないに等しい。福島の事故は1200年のに1度の天災だった。しかし、政治は国民の明日の生活を保障しなければならない。1200年のスパンで物事を判断することは不可能だ。明治維新にせよ、戦後の復興にせよ、日本人は、現在の偏差値教育の新人類よりも、格段に「勇気」があった。科学技術も信頼していた。これがなぜかいつのまにか喪失してしまって、列島が恐怖感で覆われ、うろたえている。
世俗的用語を使えば、もっと「度胸」があってもよい。日本の科学技術は世界最先端を行くものである。大きく遅れる中国が200基の原発建造計画にまい進しているにもかかわらず、神経質な反対論は生じない。近代を生き抜くための手段と原点を中国国民が知っているからだ。日本の科学技術の水準の高さの証明は、阪神淡路大震災で壊滅的打撃を受けた新幹線にある。線路が崩れ落ちたからといって、新幹線の運転が中止になったか。全く逆で、強化されて再生した。全国の新幹線網の徹底的な補強が図られて、東北新幹線は東日本大震災ではわずか数秒で全線が地震を感知してストップ。走行中であるにもかかわらず1人の死傷者も出なかった。世界が驚愕した事実である。おまけに、たった49日間で全線が復旧している。原発の技術力も世界のトップをいくものだ。「地震の経験を生かして設計・製造して欲しい」と世界各国から引き合いが来ているのは、その証左である。余り知られていないが、世界の原子炉圧力容器の8割が日本製鋼所で製造されている。それほど日本製原子炉への信頼度は高いのだ。中国の原発も野放しの建設を進めさせるよりも、日本の原発を売り込んで安全性を確保すべきだ。中国で新幹線の事故の二の舞が原発事故で発生すれば、偏西風に乗って放射能が黄砂のごとく降り注ぐのだ。
野田は、発言が毎日“異常に”ぶれる経産相・枝野幸男というアキレス腱を抱えながら、仙谷由人に支えられて、よくここまで事を運んだ。枝野は、15日も「全国で運転する原発が、恐らく一瞬、来月6日からゼロになる」と発言した。責任当事者というより、まるで評論家だ。本音は菅直人と同様に確信犯的に脱原発とみられる。防衛相人事を上回るミスキャストだ。方向性としては、野田は間違っていない。橋下の遠吠えなどは歯牙にも掛ける必要は無い。橋下は20%の電力不足が何を意味するかを知らない。貧困層、病人、老人など弱者を電力不足が襲うのだ。電力料金の値上げ、停電などを繰り返せば、社会は疲弊する。産業の空洞化は進む一方であり、失業者も増大する。選挙で民主党政権を潰すというが、自分の足元に火が付くことが分かっていない。枝野発言の「瞬間」が夏以降まで続けば、大阪は「停電」が総選挙の争点になり得る。野田の置かれた立場は、60年安保の岸を思い出させる。岸の信条であった日米安保条約改定が紛れもなくその後の日本繁栄の礎となった。原発再稼働は、それに勝るとも劣らぬ影響を将来に向かって及ぼすのだ。ここは、信念に欠ける自治体のトップを説得し、なお反対が続けば、見切り発車で早期に再稼働すべきである。ウクライナが原発停止政策をとった結果、国家が破たん寸前にまで陥り、再稼働でしのいだことを教訓にしなければなるまい。それにしても、自民党は助け船を出さないのか。傍観を決め込むのでは、党利党略の無責任政党もいいところだ。
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