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2006-08-11 00:00
小泉首相の靖国参拝
村田 晃嗣
同志社大学法学部教授
小泉純一郎首相は、「公約は守らなければならない」として、8月15日に靖国神社に参拝する意向を示した。思えば、小泉首相には公約は三つしかなかった。「自民党をぶっ壊す」ことと郵政民営化、そして8月15日の靖国参拝である。すでに派閥主導の古い自民党は解体し、郵政民営化も決まった。退任を控えた小泉首相がいまだに実現していない公約は、8月15日の靖国参拝だけである。この人の性格からして、これを遣り残して退任するわけにはいくまい。おそらく、中国も織り込み済みで、非難はしても覚悟はできていよう。
だが、ここで二つの疑問を提起したい。一つは、なぜこの公約は退任前まで達成できなかったのかということである。2001年には8月13日に前倒しして参拝し、それを説明する声明すら発表している。まだ首相として先があるうちには8月15日には行かず(あるいは行けず)、辞める間際になって8月15日に行くというのは、公約を果たす責任ある態度と見るべきか、それとも究極の無責任と見るべきか。
次に、小泉氏は公約だから8月15日に行くのであろうか。公約だから行くというのなら、それは他との関係に規定されていることになるが、首相は参拝をこれまで「心の問題」と説明してきたのではなかったか。
小泉首相は靖国参拝問題を政治化し外交問題化してしまったが、歴史や宗教、外交、憲法といった様々な観点から、われわれ国民一人一人がこの問題を改めて考える機会にもなった。問題は重層的で複雑である。異なる意見を頭から排除するのではなく、議論を深められるかどうかに、戦後日本社会の成熟度が試されていよう。
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