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2012-04-10 00:00
プーチン次期大統領が大掛かりな「親衛隊」を創設する!?
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアのプーチン次期大統領が私的な「親衛隊」を創設する意向を持っていることが明らかになった。ロシアの独立新聞が伝えたもので、40万人規模の部隊を想定しているという。「アラブの春」の民衆の反乱に触発されたのだろうか。プーチン氏は3月の大統領選の結果、6割強の得票率で当選し、5月に3期目に就任する。それに向けて現在、プーチン氏の周辺で新政権への準備が進んでおり、その過程で出てきた話とみられるが、真偽の程は定かではない。
4月4日付けのモスコー・タイムズ紙(電子版)に掲載されたラティニナ女史の解説によると、親衛隊は第一義的には大統領を警護するが、国内の脅威から国家を防衛する任務も担当するとみられる。イランには大統領の親衛隊的な性格を持つ革命防衛隊(約12万5000人)があり、要人警護から対テロ作戦まで受け持っているとされるが、それを真似たものかもしれない。この計画が本当だとすれば、昨年からアラブ諸国で起きている、民主革命とも言われる「アラブの春」に触発され、大統領を守ると共に、内戦に機動的に対処できる特殊部隊を作ろうということではないか。アラブの春では、エジプトのムバラク大統領、リビアのカダフィ大佐ら長期独裁政権が民衆の怨嗟の的になっていた。プーチン氏は、これまでの2期8年間に加え、さらに2期12年間、大統領を務めることを目指しているとされ、今から長期政権を維持する方策を講じているのだろうか。
プーチン氏は2000年に初めて大統領に就任したあと、青年組織「ナーシ」(我々の意味)を設立した。この組織は大統領支持をうたい、政権支持集会やデモを行っているが、最近活動が不活発になったとして、それに代わる新組織の立ち上げを計画しているらしい。新組織設立にかかる費用はオイル・ダラーで潤っている新興財閥などに負担させる目論見のようだ。プーチン氏は3日、大統領選対策で創設した組織「全露国民戦線」を選挙後も残す方針を示しており、与党「統一ロシア」と合わせて自らの権力基盤にする考えだ。それに加えて「親衛隊」を創設すれば、新大統領の権力は一層盤石になるという発想かもしれない。
だが、昨年暮れの下院選挙以来、プーチン流の強権政治に国民が嫌気をみせ、「プーチン離れ」が進んでいる。国民の支持がなければ、いくら自前の武装組織を作っても政権維持の支えにならないことはアラブの春が証明している。親衛隊を創設するなどという馬鹿げた話にプーチン氏が乗らないことを信じたいが…。
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