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2012-04-07 00:00
(連載)消費増税より相続資産からの課税強化を(5)
鈴木 亘
学習院大学教授
さて、これほど問題があるにもかかわらず、何故、財務省は社会保障目的税化にこだわるのか。それはまず、「社会保障目的」と言っている方が国民が納得しやすいから、ということであろう。理論や理念的な理由があることではなく、多分に、宣伝・広報戦略なのである。
しかし、実はそれだけではない。社会保障目的税化は、財務省の省益が絡んでいる。あまり知られていないが、現行の消費税の税収は、その半分ぐらいが地方に分配される地方財源としての性格を持っている。つまり、消費税1%分が地方消費税となっていることは良く知られているが、残り4%の国税分のうち、実は29.5%が地方交付税として地方に回る制度となっている。
今回、消費税を5%引き上げるが、既にそのうちの1.54%が地方消費税となることが決まっている。残りの3.46%のまた3割が地方交付税に取られてしまっては、こんなに努力した消費税引き上げが財務省の財源にならない。そこで、財務省は厚労省と組み、社会保障目的と名乗れば、増税分について地方交付税に回ることを防ぐことができるだろう、自分たちの財源にできるだろうと考えているのだ。
このように財務省の省益に歪み、何ら正当性の無い消費増税、社会保障目的税化は、ここまで政局が混乱している以上、いったん白紙に戻すべきではないか。そして、国民が真に望んでいる社会保障の安心、将来も維持可能な社会保障制度を構築する「社会保障改革」こそ、優先して議論をすべきだ。その社会保障改革を支えるための財源として、相続税や資産課税、フラットタックスなどを含めて、何が一番適したものであるか、抜本的な議論を行うべきである。(つづく)
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