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2012-03-28 00:00
(連載)「Kony 2012」への拒絶を考える(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
アフリカ中央部のウガンダで、同国の反政府ゲリラ組織「神の抵抗軍(LRA)」の蛮行を告発し、その首謀者であるジョゼフ・コニー司令官の拘束を訴える短編映画「Kony 2012」が上映されたものの、現地の人たちから強い抗議を受けて中止に追い込まれました。これは、アフリカニストたる私にとっても、少なからず考えさせられる出来事でした。
LRAはウガンダ北部に多く暮らすアチョリ人を中心に構成されるゲリラ組織です。1988年にその実権を握ったコニー司令官は、旧約聖書の十戒に基づく神権政治の樹立とアチョリのナショナリズムに訴え、ウガンダ政府と断続的に戦闘を繰り返してきました。その過程で、ウガンダ政府と潜在的に対立する隣国スーダン政府から軍事援助を受け、ウガンダやスーダンだけでなく、コンゴ民主共和国(DRC)でも活動してきたのです。このようなコニー司令官およびLRAが国際的に問題として認識されるようになったのは、子どもを兵士や性的な奴隷として使用する、ということでした。
1990年代以降のアフリカ各地で発生した内戦では、村々が襲われ、子どもがさらわれ、男の子は兵士に、女の子は性奴隷にされることが頻発しました。少年兵は世界中で約30万人いるともいわれますが、20年以上続くウガンダの内戦では2万人以上がさらわれたともいわれており、とりわけ事態が深刻です。子どもたちは誘拐されるとき、多くの場合に親など近親者を殺され、天涯孤独にされたうえで、命令に従順な兵士や性奴隷に仕立てあげられます。また、自分たちの勢力圏に近いエリアでは、LRAに対する恐怖心を植えつけるために、不必要な残虐行為が頻繁に行われており、最近では2008年12月にDRCのファラジェで、幼児を含む住民約480名が虐殺され、200名以上が拉致されました。報道によると、数十人分の死体がバラバラに分割され、現場に散乱していたということです。コニー司令官をはじめとするLRA幹部たちには、2005年に国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が発行されています。
ウガンダ内戦とLRA、さらに子どもをとりまく悲惨な状況を告発したのが、2006年に公開されたドキュメンタリー映画「インビジブル・チルドレン」でした。3人のアメリカ人大学生が、2003年にウガンダで撮影した映像をもとに作成したもので、彼らはその後この問題に取り組むNPOを立ち上げ、子どもたちの社会復帰に取り組んできました。そして、今年3月、2012年中にコニー司令官を拘束するべきだと訴えるキャンペーン「Kony 2012」をスタートさせ、ユーチューブなど動画サイト上で同名の短編映像を公開し、話題となっています。(つづく)
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