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2012-03-23 00:00
民主主義より、ロシア独自のシステムを望む!?
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシア国民は民主主義をどうみているのか?大統領選が終わり、不正選挙の抗議運動も一段落したところで、民主主義に関する世論調査結果が公表された。西側の民主主義を評価する人が増えているものの、ロシア独自の国家制度を理想とする人が多いことが浮き彫りになった。この調査は有力な世論調査機関レバダ・センターが実施したもので、その結果が3月20日付けのコメルサント紙(電子版)に掲載された。「ロシアにとってどの民主主義が良いか」との質問に、「西側諸国の民主主義」と答えた人が28%、「過去のソ連体制」を良いとする人が27%とほぼ同率だった。「ロシアの民主主義」が良いと答えた人は20%にとどまった。2008年の調査と比べると、「西側の民主主義」を上げた人が13ポイント増え、「ソ連型」、「ロシア型」はともに減っている。
「どの経済体制が良いか」との質問で、一番多かったのは国家による計画と分配をもとにした「ソ連型システム」で49%、次いで「私有財産制」が36%、残る15%は「選択できない」だった。将来の望ましい国家体制についての質問には、「完全に独自の制度と発展の道をもつ国家」と答えた人が41%で最も多く、次いで「西側モデルの国家」31%、「社会主義国家」21%の順だった。
また、民主主義がロシアに存在するかどうかについて、「レベルは様々だが、存在する」と答えた人が48%、「まだ民主主義が確立していない」という人が31%、「民主主義が弱まってきた」と答えた人は14%だった。さらに、民主主義という言葉から何を連想するかとの質問に、47%が「言論・出版の自由」と答え、24%が「経済の繁栄」、18%が「国家指導者選び」と答えた。3つの回答のうち、「言論・出版の自由」と「国家指導者選び」が以前より増えているのが目立っている。
この調査結果についてレバダ・センターのグラジダンキン副代表は「ロシアでは民主主義といっても、西側、ロシア、社会主義の3種類がある。そのため民主派野党は少数派の利害を考えるとともに、活力を落とさないよう注意して行動しなければいけない」と、長期的な視点で活動するようアドバイスしている。昨年暮れの下院選の選挙不正をきっかけにモスクワ市民が街頭行動に立ち上がり、一時は10万人前後が集会・デモに参加する事態に発展した。ところが大統領選でプーチン首相が60%以上の得票率で3期目の大統領復帰を決めると、集会参加者はぐんと減ってきた。このまま運動はしぼんでしまうのか、それとも盛り返すのか。ロシアの民主主義自体が今問われているといえよう。
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