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2006-08-07 00:00
ASEAN+3よりも東アジア・サミットの枠組みを重視せよ
布施秀一
コンサルティング会社勤務
7月27日付の投稿で村井雅子氏は「東アジア共同体を推進する主な枠組みとして、現在ASEAN+3サミットと東アジア・サミット(EAS)の2つが並存しているが、この2つの枠組みをどう考えるべきなのか」と問題提起されています。私は、日本はASEAN+3の枠組みではなく、EASの枠組みを重視して、東アジア共同体形成を推進すべきだと考えます。以下に、その理由を述べます。
第一に、ASEANの行動原理を見ていると、いわゆる「ASEAN WAY」と呼ばれる内政不干渉、コンセンサス方式をよいことに、一部の国々の無理や非合理をそのまま受け入れたり、いつまでも結論を出さずに先送りする傾向があります。その結果として、ASEANから出される意見をみると、日本よりも中国寄りの印象を受けます。G8などの国際的な議論からもかけ離れています。ASEANの域外国に対する発言も「ASEANのために何をしてくれるのか」に終始している傾向があります。それなのに、ASEANはいったんASEANの中で決めたことは、既成事実として固執し、これをASEAN+3やASEAN+1等に押し付けてくる傾向があります。
第二に、この地域にはASEAN+3の枠組みだけでなく、EASに加え、APEC、ASEM、六カ国協議など色々な地域的枠組みがあります。海賊問題、エネルギー問題、環境問題、鳥インフルエンザ問題といった国境を越える諸問題については、ASEAN+3の枠組みを超えた協力がすでに着実に実施されています。日本政府はEAS参加16カ国を対象とした東アジアEPA(経済連携協定)構想を準備していると報道されています。ASEAN+3だけでなく、EAS参加16カ国まで地域協力の対象を広げると、ASEAN+3の枠組みでは得られない成果が期待できるのではないでしょうか。
昨年末開催されたEASのクアラルンプール宣言には、日本の外交努力が実って、日本の提案した普遍的価値、開放性、包含性、透明性などの原理・原則が盛り込まれました。日本は引き続き、これらの原理・原則を強調していくべきだと思いますが、そのためには豪州、ニュージーランド、インドなどの民主主義国との連携が非常に重要です。来年のASEAN+3サミットでは東アジア共同体の全体像についての第二共同声明が出される予定であり、すでに水面下で各国の外交的な駆引きが始まっています。こうしたなか日本はASEAN+3の枠組みではなく、EASの枠組みを重視して、東アジア共同体形成を推進してゆくべきだと考える次第です。
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