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2012-03-15 00:00
米英両首脳によるアフガン撤退宣言
島 M. ゆうこ
エッセイスト
オバマ大統領は、イギリスの首相、ディビッド・キャメロン首相をホワイトハウスに招待し、両国同盟関係の強さと重要性を再確認する中で、両国の貿易拡大、雇用機会の強化、アフガニスタン撤退問題、シリア、イランの情勢について2国間協議を行ったと伝えられている。本日3月14日(当地時間)、短時間の合同記者会見を行った両国首脳は、特にアフガニスタン撤退問題について双方の意見を記者らに語った。二国間の親密度を改めてアピールしながら、オバマ大統領は最初に、米英両国同盟の重要性について、英国は「これまで世界でも知られる最も偉大で一貫した同盟国の一つである」とし、いい時も悪い時も共に協力して友好を築いていくと同時に、両国および世界の人々の安全と繁栄および自由のために強い同盟関係を維持していくことの重要性を強調した。これに応じ、キャメロン首相は、米英の関係は「血族関係の精神である」と述べ、「同盟を単なる便宜と捉える国もあるが、英国と米国の同盟は信念である」とし、「両国が会談するときは、お互いに取り組まなければならない真剣な議題がある」と述べた。
両国首脳は、アフガニスタンや他の中東での紛争における軍の使命に関しても、基本的に「全ての人々が潜在的に持つ威厳を信じる」とし、アフガニスタン戦争の本来の目的は、オサマ・ビンラディンとアルカイダの打倒であり、彼らを支持したタリバン政府も弱体化し、この目的を達成した現在、軍隊撤退の移行期である状況が変わることはないとの考えを明白にした。また、オバマ大統領は、「アフガニスタンは過去10年間、サポートされる立場であったが、今後は民主的なシステムで自から国民をリードする立場に移行しなくてはならない」とする見解を明白にした。これに付随し、9500人の軍隊を派遣し数百名以上の兵士を戦場で失った英国のキャメロン首相は「アフガニスタンは二度とアルカイダの安全な天国にはならない。我々は完璧なアフガニスタンを建設することはしない」と述べ、アフガニスタンの医療、教育、市民の生活水準、安全性は向上したことも述べ、今後は「莫大な数の外国の軍隊が駐留しなくても、アフガニスタンは自国の安全性を強化する能力がある」との見解を示し、オバマ大統領のアフガニスタン撤退政策に同意している旨をアピールした。
最近動乱が続いているアフガニスタンで、長引く戦争により精神的に異常をきたしている兵士が増えていることが懸念される今日、特に子供や女性を含む16名の市民が米兵に殺害された事件は、米国民にも大きな衝撃を与えている。このような状況下で米英首脳による合同記者会見のねらいは、アフガニスタンの撤退政策については、両国とも同じ方針であることを一般国民に明白にするためであると思われる。大統領は友好的な関係にあると言われているキャメロン首相の意見を確認したうえで、2014年末の米軍完全撤廃計画は「突然または緊急に変更されることはない」と改めて、米国政府の立場を明白にした。
オバマ政権のアフガン撤退の別の理由は、深刻な予算問題も潜んでいるからだと考える。米政府は、9・11後に始まった「テロに対する戦争」において、今日まで2兆ドル以上を費やしているが、その費用は全て借金で賄われている。政府の予算調査機関である『Congressional Research Service 』が昨年3月29日に公表した資料でも、派兵した兵士の数をほぼ2倍に増強した2009年から2010年度のアフガニスタンにおける米国国防総省の毎月の出費は、44億から67億ドルに跳ね上がっている。この事実を見ても、戦争の費用がいかに膨大であるかは明白である。対テロ戦争が米国の財政危機の重大な一因になっていることも無視できない。いずれにしても本日の合同記者会見は、米英両首脳によるアフガン撤退宣言を意味している。
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