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2012-02-19 00:00
(連載)外国人の土地買収に超鈍感な日本人(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
2月7日の読売新聞(私が見たのは電子版)に、埼玉県が外国資本による土地買収に、事前届け出制を導入しようとしていることが、報じられている。それによると、「水源地周辺の土地が中国など外国資本に買収されるケースが全国で相次いでいることから、埼玉県は近く、土地取引の事前届け出制を柱とする水源地域保全条例案を県議会に提出する」というのである。成立すれば全国で初めてで、最も土地買収が進んでいる北海道でも、同様の条例制定が計画されているという。この記事には、2006年から2010年まで5年間の、国土交通省林野庁調べによる、「外国人・外国法人による森林取得」の表が付いていて、北海道・山梨県・神奈川県・長野県・兵庫県の5道県で40件の事例が確認されており、合計面積は620ヘクタールとなっている。このうち圧倒的に多いのは北海道で、他の4県の分は各1件、合わせても15.6ヘクタールに過ぎない。ただしこの調査は、どれだけ実態を反映しているのか、はなはだ疑問なのである。
この埼玉県の条例制定については、読売新聞の同日の埼玉版にも記事があり、その目的と限界について、もっと詳しく説明している。「県が制定を目指す水源地域保全条例は、首都圏の飲み水に貢献する水源地域を、外国資本が買収に乗り出してきた場合にどう守るかという懸念に対し、地方が警鐘を鳴らすものだ。背景には、安全保障上、『国の弱点をさらけ出したままでいいのか』という危機感がある。課題はトラブルに発展しそうな買収を抑止する実効性だ」と。つまり国がやらないから、地方がやらざるを得ないというのである。しかし県にできることは限られていて、「現在、国の法制度は、外資による土地取引を無条件に禁じていない。このため、今回、許可制の導入は見送らざるをえなかった。県レベルの取り組みとしては、事前届出制が限界だ」とある。
この外国人とくに中国人の土地買収については、2月3日の産経新聞にも関連する記事があった。それは湯浅博記者によるコラム「くにのあとさき」欄で、タイトルは「気がつけば土地セールス」である。その中に、「この問題では、日本の水源林が外国資本に買収され、離島で森林が伐採されている実態から、自民党議員らが法改正に動いた。菅直人前内閣は昨年4月ようやく、すべての森林について所有権移転で事後の届け出を義務付ける法改正をおこなった」とある。つまり先の林野庁の調査は、この法改正の以前だから、実態を全く反映していないのである。埼玉県は、事後の届出では不十分だと判断しているのであり、許可制は無理としても、事前の届出制にしようとしているわけである。条例の対象地域は、先の読売新聞の埼玉版によれば、秩父市など4市、毛呂山町など13町、それに東秩父村の森林地域である。
先の湯浅記者の記事は、外国人による土地所有について、日本以外の外国の例を色々教えてくれて貴重である。「つい最近も、外国資本が在日米軍基地や自衛隊基地周辺の不動産所有を進めており、安全保障を脅かす事態が出てきた。事後の届け出では後の祭りなのだ。国際規範は安全保障に関わる外国資本による土地取得の制限を認めている。米国や韓国のように許可制にしなければ、やがて手に負えなくなるだろう。国土が荒らされる前に再改正することを望む」と指摘する。規制の対象や範囲がもう一つ明確ではないが、アメリカや韓国では、許可制であることが分かる。(つづく)
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