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2012-02-13 00:00
北方領土で「やる気」を見せた野田首相!
飯島 一孝
ジャーナリスト
「北方領土の日」の2月7日、東京・新宿区の日本青年館大ホールで北方領土返還要求全国大会が開かれた。昨年は菅直人首相がメドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問を「許し難い暴挙」と非難し、ロシア側の怒りを買っただけに、今年は初登場の野田佳彦首相が何を言うか注目された。だが、彼が選択したのは、発言で世間を驚かすことではなく、行動で意欲を示すことだった。野田首相が会場に現れたのは、正午に開会して参加者全員で黙祷した直後。山中ちあき・大会実行委員長の後に登壇し、挨拶を始めた。「北方四島の帰属問題を解決するため、ロシアとの交渉を粘り強く進めていく。66年経っても未解決なのは残念だ。時間との競争ということを踏まえて、政府と国民が一丸となって取り組むことが重要だ」と、官民一体となって返還運動に取り組む意欲を強調した。
ここまでは、歴代の首相とあまり変わらない挨拶だが、そのあと、アドリブで自民党の大島理森副総裁ら各党代表が列席していることに触れ、「すべての政党と超党派で全力を尽くすことをお願いしたい」と、持論の他党との協力路線を打ち出した。大島副総裁もこれに応えるように「北方領土問題が解決しない限り、日本の戦後は終わらないことを改めて思う。交渉は強くなくてはいけない。野田総理は強い交渉力で当たってもらいたい。戦後66年もの間、解決しないのは我々の責任でもある」と、自民党の責任問題にまで言及して野田首相を後押しした。
さらに、野田首相を得意の弁論で持ち上げたのは、あの鈴木宗男・新党大地代表だ。「私はこの大会にずっと出ているが、いつも首相は挨拶すると大会の途中で帰ってしまう。だが、野田首相は1時間以上も席に座っている。これだけでも野田首相の意欲を示している。領土問題は日露双方の最高指導者の決断にかかっている。大いに期待しようではありませんか」。このヨイショに会場からも拍手が起こった。実際、首相は約1時間半続いた大会の最後まで会場に残って参加者の意見を聞いていた。私もここ4年間、毎年参加しているが、最後まで会場に残った首相は彼一人だった。
鈴木氏は勢いに乗ってさらにこう続けた。「11年前、私は(領土問題で)2島先行返還論を主張したと言われ、袋叩きにあった。だが、その後の流れを見ても明らかなように、四島一括返還を叫んでもロシアは乗ってこない。交渉には相手があるので、現実的な判断をするしかない。今日の首相を見て、日露関係は動くという確信をもった」と大声を張り上げ、改めて持論を展開した。ここでも拍手が起こったのは言うまでもない。今年は雨が降る悪天候の大会だったが、例年になく活気があり、内容のある大会だった。意見発表者の多くが「領土問題は国民の主権の問題だ」と強調していたのが印象に残った。中でも、富山県黒部市から参加した中学生が、市内に住む元島民から「北方領土出前講座」を受けて勉強していると語っていたことに感銘を受けた。北方領土問題の風化が叫ばれて久しいが、野田首相もこういう中学生がいることを知り、勇気づけられたに違いない。その野田首相の「やる気」にこれから注目していきたい。
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