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2012-01-28 00:00
(連載)オバマ大統領の一般教書演説に思う(3)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
大統領は最後に新たな国防構想について語り、米国軍の強さと団結力の素晴らしさは世界に誇れるものであることを力説した。9年ぶりに初めて、米国はイラクでの戦いを終え、20年間で始めて、オサマ・ビンラディンがもはや米国を恐怖に陥れることはなく、タリバンは崩壊し、アフガニスタンからの兵も帰国の途上につきつつあることを伝えた。後半では、イラク戦争とアフガン戦争の終結に触れ、パキスタン及びイエメンのアルカイダ組織が弱体化したことを語り、今年も引き続き米兵がアフガニスタンから撤退することで、現在は変遷期にあり、アルカイダは2度と米国を攻撃することはないことを強調。また独裁者が消えつつある中東や北アフリカでも戦争終焉の形勢から「変化の波」が押し寄せていることを具体例で説明しながら、イランの核兵器プログラム参入を防ぐ努力にも言及した。
また、「暴力と威嚇には立ち向かい、人権、人間としての威厳、安定した民主主義、および安全保障を擁護するため、米国は立ち上がる」ことを力説した。ヨーロッパやアジアの同盟諸国との関係は益々強化され、イスラエルの安全保障は、緊密な二国間の軍部協力体制により強化され、太平洋地域での新ビジネスの展開も「新たな希望」であると述べた。また、「米国は世界事情に不可欠な国であり、自分が大統領である限り、これを維持するつもりである」とし、「米国は衰退していない」ことをアピールした。そのため、予算の削減も行いながら、同時に新たな国防政策として「世界で最も精巧な軍隊を維持する」ことを提案した。また、元軍人を警察官や消防員として採用するための退役軍人業務軍団(Veterans Job Corps)設置の提案も行った。
結論として、大事な大統領選挙の年にあたる一般教書演説であるだけに、大統領の演説は、明快で、確信的および楽観的なトーンであった。主に米国の強さの原点は公平性であることを強調していたように思われた。ある意味で、オバマ大統領のこれまでの功績をアピールし、新たな支持者を獲得するための絶好のチャンスであり、1時間の演説は大成功の雰囲気があった。また、全米で進行中の「ウォール・ストリートを占拠する」運動やウォツチドッグの監視が強まっている今日、常識に基づいた同意でなく、融通のきかないイデオロギーに固執し、お互いに破滅的な態度を展開しているかぎり、民主党も共和党もどのような改革も実現することはできないことを指摘しながらも、米国の連邦議会は強固であるべきことを力説した点は印象的であった。税制改革では、若干、具体性に欠けるものの、ウォーレン・バフェット氏のルールを支持している基本路線に関しては、一貫性があった。
国際経済面では、中国より米国のほうがはるかに生産性が優れていることを強調し、中国との経済競争力を強める対抗意識を前面に打ち出した。各州の教育予算の提案に関しては、大幅に中産階級の家庭を救うことを狙いにしたものと思われる。エネルギー政策では、自国でのエネルギー統制を強固にし、クリーン・エネルギーを推進する企業には減税を提案するなど、昨年より幾分具体性があり、方向性が明白であった。最後に、国防政策に関する安全保障と繁栄の未来構想について語り、新たな国防政策の一つとして、コンピューター・ウイルスやハッカーなどのインターネットの脅威に対する法律制定が議会に提出されていることを語った。(おわり)
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