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2012-01-26 00:00
(連載)オバマ大統領の一般教書演説に思う(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
今年も昨夜午後6時(1月24日当地時間)から始まったオバマ大統領の一般教書演説をテレビで聴く機会があった。昨年1月8日、暗殺の犠牲者として、アリゾナのツーサンで頭を撃たれ、奇跡的に一命をとりとめ、現在リハビリ中の女性下院議員ゲイブリオ・ギフォードは、更なる療養のため、23日に議員の退陣を発表したばかりだったが、晴れやかな顔色でゲストとして会場に現れた。演説の10分くらい前から、次々に議員の入場があり、最高裁5人のメンバー、次に大統領顧問委員会のメンバーが入場した。その後まもなく入場した大統領は、通路に待機していた議員らと握手や抱擁を交わした。最後に最前列で壇上の近くに立っていたギフォード氏とひときわ長い抱擁を交わすなど、感動的な瞬間をカメラは捕らえた。演説のテーマーは、すべての課題の中心となった「全てに公平な米国の価値」であり、公平な経済の建て直しが主要点であった。そのための方針として、予算問題を含む税制改革、金融規制、教育の向上、天然ガスを含めた全ての資源の有効活用におけるエネルギー政策、新たな国防政策などが示された。
まず、大統領は、焦点となった経済の建て直しについて、景気後退以前からテクノロジーが人間の業務を効率化したため、流行遅れの仕事も増え、工場の海外移転に伴い、ある一部のトップ・クラスはかってないほど収入が上がっている一方で、ほとんどの勤労者の給料はあがらず、個人の負債は増え続けている状態を示唆した。自分が大統領であるかぎり、アウトソーシング、負債、不当な財務利益で経済の弱体化を招いた同じ経済危機には再度直面しないこと、米国の工場を海外に移転させないこと、米国の労働者のためのエネルギー技術の開発、および「米国の価値」の復活を力説した。更に、税金規約の問題にふれ、仕事を海外に移転させている企業が減税を受け、海外に利益をもたらしている一方で、海外に移転しない企業が世界で最も高い税率になっている構造は道理に合わないため、この点の変革をうながした。今後、多国籍企業は、基本的な最低限度の税金を支払うべきであり、海外に移転しない企業には減税するなどの提案をした。
高度技術の製造業者であれば、国内で製品を生産するため2倍の減税を奨励し、海外移転する企業の優遇を中止し、国内に仕事を生み出す企業に報酬を与えるための税金改革の必要性を訴えた。また、1億6千万人の労働者に対する高い社会保障税の課税を中止し、給与減税を速やかに可決させることも促した。また、ほぼ米国一の富豪者、ウオーレン・バフェットより、秘書が高い所得税率を負う構造になっているため、中産階級より大富豪のほうが優遇されている「税法の抜け穴」を指摘した。強い教育、医療、及び軍事力を望む米国は、負債の支払いと、富豪層への税金削減の両方を同時に行う事には限界があるため、バフェット氏が以前から提案している「バフェット・ルール」に従った公平な税制度を確立するため、税金規約の改正が急務であることを力説した。また、連邦政府が資金提供して開発した研究所や大学では医学の分野で癌細胞を殺す新たな治療が進み、警察官や兵士が着用する軽重量の防弾ベストの研究など、このような分野での予算を削減してはならないことも明言した。
金融規制に関しては、無責任な金融システムにより、2008年以降住宅市場が崩壊したことを受けて、政府は、一所帯あたり年間3千ドルのローンを減少できるよう、歴史的に低い利息をさらに下げる計画があるが、今後米国は全ての個人が責任を負う体制を目指し、金融救済、賄賂、責任回避のできない規則を定める時が来たことを力説した。また、自由市場を崩壊させないため、財政上の不正、医療用具の欠陥、毒性廃棄などの取り締まりの必要性も強調した。また、時代遅れの規則はコストもかかるため、過去3年間で多くの規則を放棄したが、今後も特に環境、食品、健康の面において将来の世代を保護するため、二度と同じ過ちはおこしてはならないことを力説。更に、「今後金融救済は履行しない」とし個人の生活設計は厳格に行う必要性も促した。(つづく)
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