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2012-01-21 00:00
(連載)米国における憲法改正要求の動き(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
2010年1月21日、Citizens United v. Federal Election Commission の裁判で、米国最高裁は、米国憲法修正第一条に基づき「政府は、法人及び組合による政治献金限度額を定めることは出来ない」とした判決を下しました。その後2年が経過した今日、米国各地で、この最高裁の判決を覆す運動が静かに広がっています。米国に複数存在する非営利団体などは、様々な媒体による教育および署名活動を通して、この運動を率先しています。米国憲法修正第一条は、言論の自由、集会の自由、宗教の自由などを保障したものですが、これらのウォッチドッグ組織は、「お金の自由は言論の自由と同一のものではない」と主張していて、法人の金力が政治家に及ぼす影響力を懸念し、現状の改革を促すことを目的としています。更に、この憲法改正要求の趣旨は概ね、憲法により自然人に与えられた権利を法人から除外する、法人による全ての政治資金の提供を禁止する、議会と州が法人を規制する権利を確保する、選挙資金と出費の限界を設定する、などが具体案になっています。この運動を支持する複数のメディアも存在し、全国レベルで確実に進行しています。
私個人が、People For the American Way から受理した電子メールの情報によると、コロラドのジェイムスタウンの保管委員会では、憲法の権利は人間のみにその権利を与えたものであり、法人に与えたものではないことや、米国憲法修正第一条は、言論の自由とは異なり、「無制限の政治献金を保護するためのものではない」ことなどを根拠に、憲法改正を要求する決議案を満場一致で通過させたそうです。ネバダ州の観光地としても知られるボウルダー市は、お金が言論の自由と同様に解釈されている法自体の改正と「法人も自然人である」とする現行米国憲法の改正を要求する投票を可決しています。カリファルニア州では、「ウォール・ストリートを占拠する」運動の中心地になっているロスアンゼルス、オークランドなどを含めた7都市の市町村議会で「法人の選挙活動を有権者に保障されている言論の自由と混合してはならない」ことを主張して、憲法の改正を促す運動が盛り上がっています。モンタナ州のミズーラ郡では、「法人は自然人ではなく、市民と同等の権利はない」ことを明確にした憲法改正の提案を、議会に緊急上程するための住民投票が承認されています。ルイジアナ州のモンローおよび米国北東部ニュー・イングランド地域のメイン州でも、法人が自然人としてビジネスを行なうことを認めない旨の地域統治条例を通過させました。
最高裁で5対4で可決された2年前の判決に反対して、憲法改正を求めるこの運動の論点は、2つあると思います。1つは、法人も自然人と同じであるかどうかという点、2つ目は、法人による無制限の選挙資金を許可すべきか、また制限すべきかという点です。最初の論議に関する肯定的な一部の意見は「法人は株主の代表者であり、所詮個人の集合組織に過ぎないため、個人と同じ権利、すなわち、言論の自由、プライバシーの権利、黙秘権の自由、およびロビー活動の権利がある」とするものです。逆に否定的な共通意見としては、「法人も自然人である」とする法は、組織に属する個人は、個人としてすでに自然人としての権利を有しているため、法人に自然人としての権利を与えることは「二重の権利を与えることになる」とし、様々な権利の影響力と乱用を懸念しています。
最高裁の「法人は無制限に政治資金を提供できる」とした判決には批判的な意見が圧倒的に多いというのが、この2つ目の論争の特徴です。まず、少数賛成派に共通した意見は、選挙運動には多額の資金が必要であることを強調し、一般の国民は多額の寄付ができない為、企業からの寄付が多ければ多いほど候補者が「多くの国民の声を聞く機会を増やすことが可能になる」とする意見や、献金の流れが「公表される場合なら金額の制限は必要ない」との条件付きの賛成意見を含め、ビジネスの世界も米国全土で「資本主義と自由市場を強く信じる政治家を支持するため政治資金を使って対抗できる」などの意見があります。また、政治への寄付金は、言論の自由を象徴するものであり、寄付を禁止したり、寄付額を制限することは、「米国憲法修正第一条に違反する」とする意見が最も多いようです。(つづく)
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