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2006-07-27 00:00
ASEAN+3サミットと東アジア・サミットは両立するのか
村井雅子
大学院生
先月開催された「日米アジア対話:東アジア共同体と米国」で、神保謙日本国際フォーラム主任研究員が「2005年末開催された東アジア・サミット(EAS)をめぐっては、EASの目的、加盟国、ASEAN+3との関係などで中国、日本の思惑が交錯し、結果的にはASEANが『運転席』に座り続けることで妥協が図られたが、今後EASとASEAN+3のいずれが東アジア共同体推進の母体となるかについて、問題を残した」と指摘しておられます。東アジア共同体を推進する主な枠組みとして、現在ASEAN+3サミットとEASの2つが並存していますが、この両者の具体的な機能の差別化は明確にはなされていません。この2つの枠組みをどう考えるべきなのか、以下に私見を述べさせていただきます。ご批判も含め、いろいろと皆様のご意見をお聞かせいただければ幸せです。
まずは、ASEAN+3サミットとEASは補完関係なのか、それとも競合関係なのかという問題があります。ASEAN+3サミットの宣言文書では、ASEAN+3サミットは東アジア共同体構築を達成するための「主要な手段である」とされ、EASの宣言文書では、EASは共同体構築に「重要な役割を果たす」とされています。補完関係のようにも読めますが、実態としては競合関係にあると見るのが素直な読み方なのでしょう。東アジアの域内・域外国の利益や立場等の違いが存在している現状においては、ASEAN+3サミットとEASという2つの枠組みは、逆方向の動きをしています。EASはインド、豪州、ニュージーランドを応接間に迎え入れたわけですけれども、ASEAN+3サミットはこのあと奥座敷まで入れることはしないよ、と言っているように見えます。
重要だと思うのは、ASEAN+3サミットとEASの宣言文書がいずれも「ASEANが運転席に座る」と明言していることです。利益や立場の違いがある各国、とくに日本と中国、のバランスをうまくとっていく、という重要な機能がASEANに課せられているということだと思います。インド、豪州、ニュージーランドを奥座敷まであげたい日本と玄関払いしたい中国との間で、ASEANが最終的にどういう判断をするのか、それが注目されます。日本と中国のあいだでASEANが立ち往生するようなことになれば、東アジア共同体構築の動きは実質上休眠状態に入らざるを得なくなるのではないでしょうか。そのようなことにならないよう祈るのみです。
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