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2012-01-11 00:00
(連載)北朝鮮を存続させている国際構造を見よ(2)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
そして今から20年前、ソ連の衛星国であった東欧諸国が民主化され、ソ連自体も崩壊して15の国家に分裂し、共産主義の支配が終焉した。それに伴って東アジアにおけるソ連の衛星国であったモンゴルは、民主化を遂げた。しかし同じ東アジアでも、冷戦体制の崩壊と言いながら、北朝鮮は共産主義支配が続き、民主化できなかった。それは北朝鮮が中国の属国であって、中国では共産主義支配が続いていたからである。したがって北朝鮮という「この世の地獄」国家が存続している、最大の責任が中国にあることは、極めて明らかである。
朝鮮戦争で北朝鮮がまさに滅亡しようとしたとき、それを救った命の恩人は中国であるから、北朝鮮としては中国に頭が挙がらないのは当然である。以後も、北朝鮮に対してエネルギーや食料を供給しているのだから、生殺与奪の権を握っていると言って間違いない。したがって、北朝鮮の核兵器開発は、基本的に日本などの外国に対する脅迫の手段であると言わなければならない。真に独自の核兵器の保有など、ご主人様の中国が容認するはずがないからである。
ソ連の崩壊後、北朝鮮の庇護者である中国の存続を容認し、しかもその急速な経済成長に協力したのはアメリカである。つまりアメリカもまた、北朝鮮の延命に手を貸していることになる。北朝鮮を巡る「六者協議」は、その米中癒着の見事な産物と言うことができる。要するに、北朝鮮に対する中国を主役とする国際管理の体制は、既に出来上がっているわけである。したがって「独裁者」金正日が死亡したところで、基本的構造が揺らぐはずもない。現在しきりに心配されている、政権崩壊による日本への大量難民の漂着といった事態は、起こらないに違いない。
ただし、北朝鮮もこのままではどうしようもないのであるから、変化させて行かざるを得ない。変化の方向は、「中国化」と言うことになるであろう。それは共産主義政権のままで、経済を一定程度自由化することである。すでに金正日の時代にその方向への動きが見られていた。つまり今後、核の放棄を最大の切り札として、アメリカ・日本などと正式な国交を成立させ、経済開放が促進されると考えられる。日本は、植民地支配の償いとして、巨額な経済援助を提供することになるだろう。
そればかりではない。その時、拉致被害者は帰って来るかもしれないが、日本人妻とその親類縁者の多数が帰国するだろう。更には不法難民ならぬ合法移民が、大量にやってくるであろう。つまり、北朝鮮問題が解決したからと言って、我が国にとって喜んでいられない状態になることは、充分に覚悟しておかなければならない。目先のことにガタガタ騒でいる暇があったら、キチンと歴史を回顧して、今後の行く末を見極めることが大切である。(おわり)
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