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2011-12-27 00:00
(連載)領海の無害通航権について考える(2)
緒方 林太郎
衆議院議員(民主党)
更に調べてみると、アルバニア、アルジェリア、アンディグア、バルバドス、カーボ・ヴェルデ、コンゴ、グレナダ、モルディブ、ミャンマー、オマーン、パキスタン、フィリピン、ルーマニア、セント・ヴィンセント、セイシェル、ソマリア、スリランカ、スーダン、シリア、ベトナムは事前許可制、バングラデシュ、クロアチア、デンマーク、エジプト、エストニア、ガイアナ、インド、リビア、マルタ、モーリシャス、ナイジェリア、セルビア、モンテネグロは事前通報制だ、とモノの本には書いてあります。逆に米国、ドイツ、イタリア、オランダといった先進国は、このような許可や通報の制度に反対をしています。特にアメリカやロシアは軍艦の無害通航権を制限することについては断固として反対しています。海洋国家たる日本は基本的には軍艦や非商業目的の無害通航権を認める立場(つまり、先進国側)です。
まあ、たしかに途上国は先進国からの介入を嫌がりますから、領海を我が物顔で軍艦が通って行かれるのが嫌なのだと思います。他にも例えばルーマニアなんてのは、領海は黒海の中で、ロシアがウクライナから租借して黒海艦隊の軍港となっているセヴァストポリ港がすぐ近くですし、ウクライナ海軍の拠点であるオデッサ港からボスポラス海峡への通路となりますから、それらが許可なくルーマニア領海をガンガン通っていかれてはたまらんという思いがあるでしょう。このあたりはとてもよく理解できます。
ここで思うのが、日本は「相互主義」を前提に似たような制度を導入してはどうかということです。許可制、届出制を導入している国の船舶に対しては、日本も同じような許可制、届出制を導入するということです。すべての国の軍艦、非商業目的政府船舶に許可、届出を求めると、米国との関係で色々と厄介な問題が出てくるでしょうから、「相互主義」ということであればいいのだと思います。すべての国に予め「軍艦や非商業政府船舶の無害通航権に条件を付していないこと」の確認を求め、かつ、「条件を求めているケースには、うちも同じ条件を課すこととする」という通知をすればいいのです。
まあ、日本の海上自衛隊が中国領海に入っていくことはないでしょうけど、向こう様が入ってくることは大いにあり得ます。怪しげな政府調査船のケースも同様です。中国がそういうものに許可制を導入している以上、こちらも同じことをすればいいだけです。ポイントは(手続的にはちょっと厄介ですけど)「相互主義」です。最近、好きな言葉でして、外交団と話す時、どんなテーマでも「reciprocity が確保されるなら、あなたの主張に同意してあげてもいいよ」と話しては、相手を困らせています。(おわり)
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