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2011-12-21 00:00
(連載)危機管理能力の無さを露呈した野田政権(1)
尾形 宣夫
ジャーナリスト
国民の生命・財産を守るための国家の危機管理に問われるものは、有事における政権の沈着冷静な判断と揺るがない覚悟であろう。そのために政権は、たゆまぬ日頃の研鑽(けんさん)に裏打ちされた政治哲学と実行力が求められる。12月17日に死去した北朝鮮の金正日総書記のニュースは、少なくとも現時点では誰もが予想できなかったし、その激震はあっという間に世界を駆け巡った。今年の世界の重大ニュースのトップとなることは間違いない。継承される体制がどんな路線を歩むのか、そして東アジア情勢、世界の政治バランスにどのような影響をもたらすのか、を世界は注視している。
流動化する世界情勢の中で迎える2012年は、ロシア、中国、米国、韓国などで体制移動のある「スーパーイヤー」と呼ばれる年である。選挙結果次第では、わが国を取り巻く東アジア情勢に大きな局面転換があるかもしれない。その「スーパーイヤー」が、体制盤石と見られていた北朝鮮における金総書記の死という事態で明けようとしている。そうしたことを思いながら、19日の正午をわずかに回った時間に飛び込んできた金総書記死去のニュースを受けた野田政権の対応を、「危機管理」の面から振り返ってみた。結論から言えば、政権の危機管理意識はゼロに等しい。対処能力もないと言わざるをえない。
北朝鮮の国営メディアが「正午の特別放送」を予告したのが午前10時である。北朝鮮が「特別放送」を予告するのはいわば重大発表の第一報である。ところが藤村官房長官はこの日の午前11時からの定例会見で、最後に問われて「何を発表するのか分からない」と、あっさり述べただけだった。記者たちもそれ以上聞こうとはしなかった。情報収集の元締めともいえる警察庁の幹部は、「以前も『特別』や『重大』と称する事前予告型の放送があったが、その重大性はまちまちだった」(読売新聞20日電子版)などと釈明するほどだから、官邸に情報が届いていても、官房長官が反応しなかったのは当然といえば当然だ。
つまり、わが国の政治・行政の中枢である東京の永田町、霞が関、さらにはマスコミも含めて誰もが、北朝鮮が発した「特別放送の予告」を聞き流していたのである。この日、野田首相は、就任後初めて正午過ぎに東京・新橋のJR新橋駅前で街頭演説に立つ予定を組み、正午に首相官邸を出発した。テレビが「金総書記死去」の緊急ニュースを流したのは、その直後。首相は官房長官からの電話連絡で、急きょ官邸に引き返した。首相官邸の危機管理センターに対策室が設置され、安全保障会議の招集が決まる。そして午後1時から安保会議が開かれた。(つづく)
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