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2011-11-11 00:00
プーチン政権の支持率:地すべり的な低下
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアの次期大統領選を占う下院選挙まであと3週間余りとなったが、大統領選に立候補するプーチン首相の支持率が61%に下がったことが分かった。昨年まで80%前後の支持率を誇っていたが、この1年間に20%近くも下がったことになる。政権与党の支持率も大幅にダウンし、プーチン首相、メドベージェフ大統領の二人三脚で進めてきた双頭政権体制に黄信号がともった。ロシアの世論調査機関レバダ・センターが10月終わりから11月初めにかけて行なった調査で明らかになった。11月8日のコメルサント紙(電子版)によると、12月4日の下院選挙で与党の「統一ロシア」に投票すると答えた人は51%にとどまった。2週間前の調査では60%が投票すると答えており、この間に1割近くが他党の支持に回ったことになる。この数字から得票率を割り出すと、全議席(450)が比例代表制なので獲得議席は252で、3分の2を獲得した4年前の選挙時(315議席)に比べ、大幅に議席を減らすことになる。
逆に野党の共産党、自由民主党に投票すると答えた人は前回調査よりも3%増え、議席数に換算すると共産党は99議席(前回選挙では57)、自由民主党は67議席(前回は40)となる見通し。同じく野党の「公正ロシア」も議席獲得に必要な得票率7%に達しそうだ。リベラル派のヤブロコは4%で、今回も議席獲得は難しい情勢だ。注目の双頭政権の支持率では、プーチン首相、メドベージェフ大統領ともダウンしていて、とくに次期首相を約束されているメドベージェフ大統領が57%にまで落ち込んだのが目立つ。1年前には77%だったので、ちょうど20%下がったことになる。プーチン首相も61%で、これまでずっと70ー80%の支持率を誇ってきただけに「地すべり的な低下」と見られている。
なぜ、これほど支持率が下がったのか。レバダ・センターのグラジダンキン副社長は「9月下旬の与党大会で首相と大統領が交代することが決まったが、すでに選挙前に事実上交代が行われていることに、有権者が怒っているのかもしれない」と見ている。また、政権側は給料や年金のアップを選挙の公約にしているが、些細な上昇にとどまるとの予測も影響しているとみられる。さらに、メドベージェフ大統領の支持率が大幅に低下したことについて、副社長は「メドベージェフ大統領を支持したグループは、3年間の大統領の実績が期待はずれに終わったことから、支持者離れを起こしている」と分析し、双頭政権が衰退していることを指摘している。だが、双頭政権が直ちに崩壊するとは予測していない。
野党側はこの調査結果について「与党に対する有権者の認識に大きな変化が起きている」と歓迎している。ヤブロコのミトロヒン代表は「与党の実際の支持率は世論調査の結果よりも低いと思う。われわれは下院選挙で与党の過半数割れを目指して戦いたい」と語っている。一方、与党幹部は「この調査結果でも、与党は下院の全議席の6割を占めることになる」と述べ、敗色濃厚との見方を否定している。この世論調査の結果からははっきりわからないが、プーチン氏はすでに2000年の大統領就任から12年間も最高権力者の地位にあり、さらに今後12年間国家を統治する可能性が強いことに国民の拒否反応が起きつつあるように思う。プーチン首相もそれを自覚しているからこそ、「全露国民戦線」を結成するなど、支持層の拡大に努力しているのだろう。だが、メドベージェフ大統領の支持率大幅低下も加わり、双頭政権が機能不全に陥っていることは明らかだ。プーチン首相は残された短い期間に、国民の幅広い支持を回復することができるだろうか。
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