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2011-10-24 00:00
(連載)「アラブの春」「ロンドン暴動」「ウォール街占拠」の異同(2)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
ただし、そういうフラストレーションを晴らすこと自体が目的であったため、政府や社会に対して建設的な異議申し立てを行うというより、露骨な略奪という犯罪行為に向かったと捉えられます。一方で、そういう行為が社会の多数派の支持を得られるはずもなく、また暴動の参加者も、既存の社会そのものの転換を図ったとはいえません。つまり、従前の社会で生きるという前提のもとで、そのなかで鬱積した不満を爆発させたという構図が、そこに見て取れるのです。「支配する側と支配される側」を転換させて、日常的なフラストレーションを晴らすことを目的とした点で、語弊があるかもしれませんが、「ロンドン暴動」は一種の「祭り」だったといえます。
ところが、「ウォール街占拠」の場合は、少し意味合いが違います。「自分たちが99パーセント」という主張に象徴されるように、彼らは「多数者」であることを錦旗として、「少数者」たる富裕層を批判し、さらに富裕層を優遇する政府にも批判の矛先を向けます。「ロンドン暴動」の場合、自らを正当化する言辞は、暴徒からあまり聞かれなかったように思います。
しかし、「ウォール街占拠」の場合は、抗議活動に集まる人たちは、自分たちの「正しさ」を熱烈に強調しているようです。それは、行為が暴力的あるいは犯罪であるか、あるいは主体となった人間の教育水準の高い低いにも関係しますが、より根本的には「ロンドン暴動」と異なり、「ウォール街占拠」の運動自体が、代表制に基づく議会制民主主義そのものに対する、一種の異議申し立てであることがあります。
ウォール街に集まったのは、文化的差異といった規定要因は乏しい一方、経済格差の弊害を直接的に受ける人たちの集まりで、さらにオバマ政権誕生に貢献したリベラル派の若者を中心としている点に特徴があります。いわば彼らは、ブッシュ政権のもとで格差に不満を抱き、その「チェンジ」を求めてオバマ大統領誕生の原動力となった階層です。しかし、オバマ政権誕生後も、アメリカでは経済が停滞し、失業率も改善の兆候が見られません。(つづく)
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